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2023年08月02日

2024年09月13日

【2024年6月更新】Azure OpenAI Service とは?特長や料金体系をわかりやすく解説

Azure OpenAI Service とは?特長や料金体系をわかりやすく解説

2023年1月、Microsoft社の法人向けOpenAIサービス「Azure OpenAI Service」の一般提供が始まりました。Azure OpenAI Serviceは、ChatGPTやGPT-4をはじめとする多様な生成AIモデルを、Azureのクラウドプラットフォーム上で利用できるサービスです。OpenAIをそのまま利用するよりもセキュリティが高くデータ保護の観点で優れているため、企業や自治体などから注目を集めています。
本記事では、Azure OpenAI Serviceの基礎知識や特長、活用、活用事例をわかりやすく解説します。Azure OpenAI Serviceの導入を検討されている際は、ぜひ参考にしてください。

※2024年6月時点の情報を元に執筆しています。

Azure OpenAI Serviceとは

Azure OpenAI Serviceとは

Azure OpenAI Service は、Microsoft Azure のクラウドプラットフォーム上で提供される、OpenAI社の人工知能(AI)サービスです。OpenAI社が開発したGPT-4oやGPT-4など、自然言語処理モデルを使用できます。

またAzure OpenAI Serviceは、Microsoft社が提供するAzure Cognitive Servicesの一つでもあります。Azure Cognitive Servicesでは、クラウドベースのAIサービスを使ってアプリケーションの開発が可能です。担当者に専門知識がなくても、AIモデルを活用したサービスを容易に構築できる点が特長です。

アクセスには申請が必要で制限されている

2024年6月時点において、Microsoft社の「責任あるAI」という原則を考慮し、AIの悪用や意図しない損害を防ぐため、Azure OpenAI Service へのアクセスは制限されています。しかし、申請したからといって必ずしも受領されるわけではありません。

現時点では、同社と関係が構築できているパートナー企業、リスクの低いユースケース、リスクの軽減に配慮した顧客のみが対象となっています。Azure OpenAI Serviceへのアクセスを希望する場合、下記のページから申し込みができます。

Azure OpenAI Service ページ の左側にある「Azure OpenAI とは」をクリックして、「Azure OpenAI にアクセスするにはどうすればよいですか?」を選択します。

アクセスには申請が必要で制限されている Azure OpenAI Serviceとは

続いて、[今すぐ適用する]をクリックすると、アクセス申請画面へ推移するので、各項目を入力していきましょう。

アクセスには申請が必要で制限されている Azure OpenAI にアクセスするにはどうすればよいですか?

OpenAIとの違い

OpenAIのモデルを使うには、「Azure OpenAI Service」または「OpenAI」を使用する方法があります。OpenAIとAzure OpenAI Serviceは共同開発され、互換性が確保されているため精度に違いはありません。しかし、最新モデルのAPIはOpenAIが先行して公開されます。

2つのサービスの大きな違いは、セキュリティ面です。Azure OpenAI Serviceでは、入力情報がAIのトレーニングに利用されず、Microsoft Azureのセキュリティ機能を使用できます。入力情報がトレーニングに利用される可能性のあるSaaS版のOpenAIよりも、Azure OpenAI Serviceの方が高い機密性を確保できるでしょう。

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Azure OpenAI Serviceの特長

Azure OpenAI Serviceの特長

次に、Azure OpenAI Serviceの3つの特長を紹介します。

高いセキュリティで機密情報を保護できる

Azure OpenAI Serviceは、Microsoft Azureの強固なセキュリティで継続的に保護されています。例えば、ID管理やアクセス権の制御、ネットワークのセキュリティ保護、監視、脅威の早期発見などのセキュリティ機能が利用可能です。

機密性が高い開発環境を構築できるので、厳しいセキュリティポリシーを定めた組織からも信頼されています。

多様なAIモデルを利用できる

Azure OpenAI Service では多様なAIモデルを活用でき、高度な文章生成や画像生成、自然言語処理が可能です。具体的には、GPT-4o、GPT-4、DALL-Eなどがあります。それぞれの概要は、次のとおりです。

Azure OpenAI Service で利用できるAIモデルの例)(2024年6月時点)
GPT-4o, GPT-4 Turbo 最新の最も能力の高いモデルで、テキストと画像を入力できる。
GPT-4 GPT-3.5をもとに改善された、自然言語とコードの理解や生成ができるモデル。
DALL-E テキストプロンプトからオリジナル画像を生成するAIツール。
埋め込み テキストデータを数値ベクトル形式に変換するモデル。
Whisper 音声をテキスト化して、翻訳できるモデル。
テキスト読み上げ テキストを音声に合成できる。現在はプレビュー段階。

導入やスケールアップ・ダウンがスムーズにできる

Azure OpenAI Serviceはクラウドベースであるため、物理的なオンプレミスサーバが必要なく、導入がスムーズです。また、スケーラビリティに優れている点も、クラウドサービスの特長です。必要に応じて業務アプリケーションやデータベースを増加でき、規模を縮小する際は保存容量を容易に削減できるため、スケールアップ・ダウンに対応しやすいでしょう。

Azure OpenAI Service の料金体系

Azure OpenAI Serive の料金体系は、使用した分に応じて料金を支払う従量課金制が採用されています。モデルによって価格が異なるので、ここではモデルごとの価格や計算方法を紹介していきます。

参考:Azure OpenAI Service の価格|Azure

モデルごとの価格

価格はモデルの種類によって異なり、多くのモデルではトークンの使用数に基づいて計算されます。

トークンとは、Azure OpenAI が処理する基本単位のことです。たとえば言語モデルにおいて、「apple」と「りんご」のトークン数は次のとおりです。

  • apple...1トークン
  • りんご...3トークン

「1つの英単語=1トークン」が目安となりますが、日本語は英単語に比べてトークン数が多くなる傾向にあります。トークン数は、「Tokenizer」に入力すると以下のように表示されます。

モデルごとの価格

出典:Tokenizer

ここから、モデルごとの価格を見ていきましょう。「Azure OpenAI Service の価格」のページで、リージョンを「東日本」、通貨を「日本円」に設定すると、言語モデルやモデルの埋め込みの価格が表示されます。

現時点(2024年6月)において、東日本リージョンで画像モデル(DALL-E)や音声モデル(Whisper)は使用できません。これらに関して、画像モデルは「米国東部」、音声モデルは「米国中北部」で表示される価格をご紹介します。

言語モデル(東日本、日本円※1USD=157.5JPY)

モデル 入力(1,000トークンあたり) 出力(1,000トークンあたり)
GPT-4(8K) ¥4.726 ¥9.451
GPT-4(32K) ¥9.451 ¥18.901

言語モデルに関しては、入力したトークン数だけでなく、出力されたトークン数も課金対象となります。

たとえばGPT-4(32K)モデルを使用し、入力が2,000トークン、­出力が3,000トークンの場合、以下の計算式で価格を求められます。

2,000 × ¥9.451/1,000 + 3,000 × ¥18.901/1,000 = ¥75.605

モデルの埋め込み(東日本、日本円※1USD=157.5JPY)

モデル 1,000トークンあたり
Ada ¥0.015751
text-embedding-3-smal ¥0.003151

text-embedding-3-largeは、現時点で最も高性能の埋め込みモデルです。しかし2024年6月時点において、東日本リージョンでは使用できません。

画像モデル(米国東部、日本円※1USD=157.5JPY)

モデル 解像度 価格(画像100件あたり)
DALL-E-3(標準) 1024 × 1024 ¥630.001
DALL-E-3(HD) 1024 × 1024 ¥1,260.001

画質が標準で解像度が1024×1024の場合、画像を100枚生成すると価格は約630円となります。

音声モデル(米国中北部、日本円※1USD=157.5JPY)

モデル 価格
Whisper ¥56.71/時間
テキスト読み上げ 1,000,000 文字あたり ¥4,725.01

たとえば2時間の打ち合わせをWhisperでテキスト化した場合、計算式は以下のとおりです。

2時間 × ¥56.71/時間 = ¥113.42

Azure OpenAI Service の見積もり

Azure の公式サイトで提供されている「料金計算ツール」を使って、Azure OpenAI Service を利用した場合の見積もりを確認できます。おおよそのトークン数などがあらかじめわかっている場合は、利用してみましょう。

ここでは言語モデルを利用する際の見積もりの手順をご紹介します。

見積もりの計算ツールを追加する

見積もりの計算ツールを追加する

料金計算ツール」のページの左側から「AI + machine learning」を選択し、中央に表示される「Azure OpenAI Service」の「見積に追加」をクリックします。

リージョン、モデルの種類、モデルを選択する

リージョン、モデルの種類、モデルを選択する

同じ画面に「見積もり」が表示されるので、リージョン、モデルの種類、モデルをそれぞれ選択しましょう。ここでは、以下のように設定しています。

  • リージョン:Japan East
  • モデルの種類:言語モデル
  • モデル:GPT-4-32K

入力・出力トークン数を記載する

入力・出力トークン数を記載する

続いて、入力・出力トークン数を記載すると、月額料金が表示されます。今回はそれぞれ「3,000」トークンと記載したところ、月額料金は約85,000円になることがわかりました。

なお同じ画面の下部に「通貨」を変更できる箇所があるので、日本円の見積もりが欲しい場合はあらかじめ設定しておきましょう。

Azure OpenAI Serviceの活用方法

Azure OpenAI Serviceの具体的な活用方法を紹介します。

AIチャットで業務の悩みを迅速に解決

社内のコミュニケーションツールやデータベースと連携することで、AIチャットが利用でき、業務上の悩みを迅速に解決できます。従業員がチャットで業務上の質問を投げかけると、AIがマニュアルや社内規定などにアクセスして回答する仕組みです。

例えば、情報システム部門への問い合わせをAIチャットにするなどが挙げられます。FAQなど蓄積されたナレッジから一次回答が提供され、情報システム部門の業務効率化を実現できます。

問い合わせ対応だけでなく、文章の要約や翻訳、議事録の作成にもAIチャットで対応可能です。AIチャットに指示を出すと文章が自動作成されるので、業務工数の削減につながります。

データ分析でマーケティングを強化

Azure OpenAI Serviceを活用し、データ分析を自動で実行してマーケティング施策に反映する方法もあります。市場調査の結果や業務データなどをアップロードして、分析方法や対象範囲を指示することで、定量分析や頻出単語の抽出などができます。

Azure OpenAI Serviceなら機密情報の保護に優れているため、安全に利用可能です。分析内容をレポート化して活用すれば、PDCAを迅速に回せるでしょう。

まとめ

Azure OpenAI Serviceを導入することで、安全な環境で最新のAIモデルを活用したサービスを構築できるようになります。また、クラウドベースのサービスであるため拡張性があり、事業の変化に応じて柔軟に容量の増減などができます。

しかし、 Azure OpenAI Service の登場によって、以前よりもAIモデルを容易に活用できるようになったとはいえ、Microsoft Azure の運用には専門知識が必要です。また Azure OpenAI Service の料金体系は複雑で、モデルごとに価格が異なり利用コストの見積もりを取るのが難しいという課題もあります。

JBCCでは、「EcoOneサービス」を通じて Microsoft Azure の見積もりから設計、運用までサポートしています。無料でクラウド相談会も行っておりますので、クラウドをベースとした社内環境の構築にご関心がありましたら、お気軽にお問合せください。

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