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2025年05月07日

2025年05月07日

CNAPP(シーナップ)とは?必要性や構成要素、導入時の注意点を詳しく解説

クラウド環境への移行が進む中、セキュリティ対策は企業にとって欠かせない課題となっています。

しかし、クラウド環境を複数利用することが当たり前になってくると、設定や管理は複雑化し、、専門的な知識を要する場面も少なくありません。そのような状況では、管理負担の増加、設定ミスによるセキュリティ事故などのリスクが増加してしまいます。

このような課題を解決する手段として注目されているのが、「CNAPP(シーナップ・クラウドネイティブアプリケーション保護プラットフォーム)」です。

本記事では、CNAPPの基本的な仕組みから具体的な構成要素、導入のメリット、運用時の注意点までをわかりやすく解説します。

安全で効率的なクラウド活用を実現したい方は、ぜひ参考にしてください。

CNAPP(シーナップ)とは?必要性や構成要素、導入時の注意点を詳しく解説
この記事の目次

CNAPP(クラウドネイティブアプリケーション保護プラットフォーム)とは?

CNAPP(クラウドネイティブアプリケーション保護プラットフォーム)とは?

CNAPP(Cloud Native Application Protection Platform:シーナップ)とは、2021年8月に米調査会社Gartner(ガートナー)が提唱した新しいクラウドセキュリティの概念です。

クラウド環境でのセキュリティ対策は従来、CWPP(クラウド上のアプリケーション保護)、CSPM(設定ミスや脆弱性の検出)、CIEM(権限管理)などの個別のツールを導入して行われていました。しかし、これらを個別に運用すると情報が分断(サイロ化)され、脅威の早期発見や迅速な対応が難しいという課題がありました。

CNAPPは、このような課題を解決するため、複数のクラウドセキュリティ機能をひとつのプラットフォームに統合した仕組みです。CNAPPを導入することで、企業はクラウドインフラ全体のリスクを包括的に把握でき、設定ミスや脆弱性への迅速な対応が可能になります。

その結果、運用の複雑さが軽減され、セキュリティレベルを保ちながら効率的な管理が実現します。

CNAPPの必要性

CNAPPの必要性

クラウド利用が本格化する今、複雑なクラウド環境を安全かつ効率的に管理するには、CNAPPのような統合的なセキュリティ対策が不可欠です。

近年、多くの企業がオンプレミス環境からクラウド環境への移行を進めており、クラウド上の情報資産の価値はますます高まっています。しかしその一方で、複雑化するクラウド環境特有の設定や権限管理が原因で、情報漏洩や不正アクセスなどのセキュリティ事故も多発しているのです。

また、サイバー攻撃自体も日々巧妙化しており、従来の個別的なセキュリティ対策だけでは、こうした高度な脅威に十分対応できない状況が生まれています。特にAWSやAzureなど複数のクラウドサービスを併用する「マルチクラウド環境」では、管理が複雑になる点が問題です。それぞれのサービスを個別に運用することで、設定ミスや管理の抜け漏れが発生しやすくなります。

こうした課題を解決するのが、CNAPPです。CNAPPを導入することで、クラウド環境の設定ミスや権限管理の不備を一元的に検出・是正し、マルチクラウド環境全体を包括的に保護できます。これにより、企業はクラウドのメリットを十分に活かしつつ、安全な環境を維持できるようになります。

CNAPPの構成要素

CNAPPの構成要素

CNAPPは、クラウド環境のセキュリティ対策を包括的にカバーする統合型プラットフォームです。CNAPPを構成する主要な要素は、以下のとおりです。

  • CSPM(クラウドセキュリティ態勢管理)
  • CIEM(クラウドインフラストラクチャ権限管理)
  • CWPP(クラウドワークロード保護プラットフォーム)
  • KSPM(Kubernetesセキュリティ態勢管理)
  • IaC(ITインフラ構築・運用のコード化)
  • DSPM(データセキュリティ態勢管理)

上記6つの要素はそれぞれ異なる役割を担い、連携することで高度なセキュリティ体制を構築します。順番に詳しく解説しましょう。

CSPM(クラウドセキュリティ態勢管理)

CSPM(Cloud Security Posture Management)とは、クラウド環境の設定ミスやポリシー違反を自動で検出・修正する仕組みです。

管理するシステムやアカウントが増えるほど設定管理は複雑化し、公開設定の誤りなどのミスが発生しやすくなります。CSPMはこのような設定ミスをリアルタイムで検出し、修正を促すことで、情報漏洩や不正アクセスといったリスクを未然に防ぎます。

CIEM(クラウドインフラストラクチャ権限管理)

CIEM(Cloud Infrastructure Entitlement Management:キーム)とは、クラウド環境におけるアカウントなどに与えられた権限を適切に管理し、不正利用を防止する仕組みです。

クラウド上の権限を可視化し、過剰な権限や長期間未使用のアカウントを監視して、不要な権限を自動的に検出・最適化します。「最小権限の原則」に基づいて必要最低限の権限のみを付与することで、情報漏洩や不正アクセスといったリスクを抑えられます。

CWPP(クラウドワークロード保護プラットフォーム)

CWPP(Cloud Workload Protection Platform)は、クラウド環境で動作するワークロードのセキュリティを保護するための仕組みです。保護対象には通常のサーバに加え、仮想マシンやコンテナ、サーバレスアーキテクチャも含まれます。

CWPPはワークロードの可視化や監視によって、脅威の早期発見と対応が可能です。また、セキュリティポリシーの適用やコンプライアンス管理にも対応しており、安全な運用をサポートします。

CWPPは実行中ワークロードの攻撃面を最小化し、CSPM が担う設定ミス検出と補完し合いながら、クラウドインフラ全体の安全な運用を支えます。

KSPM(Kubernetesセキュリティ態勢管理)

KSPM(Kubernetes Security Posture Management)とは、コンテナ運用管理を行うプラットフォームであるKubernetes環境において、セキュリティ設定やリスクを包括的に管理する仕組みです。

Kubernetesでは多数のコンテナが稼働し、構成が頻繁に変化するため、設定ミスやセキュリティリスクが発生しやすくなります。KSPMはコンテナやホスト(コンテナが動作する環境)、クラスタ(コンテナ群)を自動的に監視し、問題点をリアルタイムで検出・通知します。その結果、複雑で変化の速い環境でも安全性を効率的に維持できます。

IaC(ITインフラ構築・運用のコード化)

IaC(Infrastructure as Code:アイエーシー)とは、クラウド環境のリソースやインフラ構成を、コードを用いて管理・自動化する仕組みです。

IaCを導入することで、手作業でのインフラ構築や設定変更が不要になり、人的ミスによるセキュリティリスクを大幅に低減できます。また、コードで管理することで設定内容やバージョンを明確に把握でき、同じ設定を複数の環境に迅速かつ正確に展開できます。

結果として、システム全体の安全性や運用安定性が向上し、安全で効率的なクラウド運用が実現可能です。

DSPM(データセキュリティ態勢管理)

DSPM(Data Security Posture Management)とは、クラウド上にある重要データを特定し、リスクに応じて優先的に保護・監視する仕組みです。

クラウド環境では、機密データがさまざまな場所に分散し、管理が煩雑になりがちです。DSPMはデータの所在や利用状況、アクセス経路を把握し、データの重要性に応じてリスク評価を自動的に行います。

すべてのデータを一律に保護するのではなく、リスクの高いデータを優先して対処することで、効率的かつ効果的なセキュリティ対策が実現します。

CNAPPを導入するメリット

CNAPPを導入するメリット

CNAPPを導入すると、複雑化するクラウド環境のセキュリティを効率的に強化し、安全で管理しやすい仕組みを実現できます。特に以下の6つのメリットがあり、クラウド利用をさらに推進する企業にとって重要なポイントになります。

  • 一元的な管理
  • コンプライアンスの維持
  • コスト効率の向上
  • ヒューマンエラーの削減
  • DevSecOpsの促進
  • マルチクラウド環境への対応

ここからは、これらのメリットをひとつずつ詳しく見ていきましょう。

一元的な管理

CNAPPを導入することで、複数のセキュリティツールを統合して、一元的な管理が可能になります。

従来、企業はCSPM、CIEM、CWPPなどを別々に導入し、運用も個別に行ってきました。このため、ツール間で情報が分断(サイロ化)され、脅威の早期発見が難しく、運用負荷も増大していました。

CNAPPはこれらの機能を1つのプラットフォームにまとめることで、セキュリティリスクの包括的な把握と迅速な対応を可能にします。その結果、管理の手間や複雑さが軽減され、安全かつ効率的なクラウド運用が実現します。

コンプライアンスの維持

CNAPPには、法規制や業界のガイドラインに沿ったセキュリティ管理を効率的に維持できるというメリットがあります。

クラウド環境では、個人情報保護法やPCI DSSなど厳しい基準への対応が求められますが、設定ミスやルールの逸脱によって予期せぬリスクが生じるケースが少なくありません。

CNAPPはクラウド上の設定やポリシーを常時監視し、設定ミスやルール違反を自動で検出して警告を発します。また、セキュリティの状態をリアルタイムで可視化するため、コンプライアンス違反や脆弱性を迅速に発見・修正できます。その結果、法規制に違反するリスクを軽減でき、安心してクラウドを運用できます。

コスト効率の向上

複数のセキュリティツールを別々に運用する場合に比べて、費用と人的負担を削減できます。

従来型の個別ツール導入では、それぞれにライセンス費用や保守運用コストがかかり、管理工数も増加していました。一方、CNAPPは、複数のセキュリティ機能を一つのプラットフォームに統合して提供するため、重複コストや煩雑な運用が解消されます。

その結果、限られた予算や少ない担当者でも高度なセキュリティ対策が実現し、安定した運用を効率的に継続できます。

ヒューマンエラーの削減

CNAPPはセキュリティ関連の作業を自動化するため、人間による設定ミスや誤操作を防止できます。

クラウド環境では、手作業による設定変更や権限管理のミスが情報漏洩やシステム障害につながるケースが後を絶ちません。CNAPPは複雑なタスクを自動的に実行するため、人が関与する作業を減らし、ミスの発生を防止します。

結果として、ヒューマンエラーによるセキュリティ事故のリスクが低減され、企業は安全で安定したクラウド運用を実現できます。

DevSecOpsの促進

CNAPPは、開発(Dev)・運用(Ops)・セキュリティ(Sec)を統合した「DevSecOps」を促進し、セキュリティを考慮した迅速なソフトウェア開発を支援します。

DevOpsは、開発と運用が連携して迅速なソフトウェア提供を目指す手法です。CNAPPを活用し、その手法にセキュリティ(Sec)を組み込むことで、開発プロセスの早い段階からコードのセキュリティチェックやインフラの設定管理を自動化できます。

その結果、セキュリティリスクの早期発見・修正が可能となり、安全性を確保しつつ迅速な開発・運用を実現できます。

マルチクラウド環境への対応

CNAPPを導入することで、AWSやAzureなど複数のクラウドサービスを併用する「マルチクラウド環境」でも、効率的にセキュリティを管理可能です。

クラウドサービスごとにセキュリティツールを個別運用すると、設定やリスク管理が複雑になり、管理の抜け漏れや誤設定が発生しやすくなります。CNAPPはこれらの情報を一つのプラットフォーム上に統合して、セキュリティリスクを一元的に把握できるようにします。

その結果、複数のクラウド環境でも設定ミスや運用負荷を大幅に軽減でき、安全で安定したマルチクラウド運用を実現できます。

CNAPPを導入する際の注意点

CNAPPを導入する際の注意点

ここでは、CNAPP導入時に押さえておきたい代表的な注意点について解説します。

  • コストが高額になる可能性がある
  • 導入・運用には専門知識やノウハウが必要
  • 製品ごとの機能差に注意する

CNAPPの効果を最大限に引き出すために、これらの注意点を理解しておきましょう。

コストが高額になる可能性がある

CNAPPは高度な機能を備えているため、導入時や運用時のコストが高額になる場合があります。

特に複数の機能を一元化している製品ほど、導入やランニングコストが膨らむ傾向にあります。事前に自社に必要な機能を絞り込んでシミュレーションを行い、費用対効果の高いサービスを選定することが重要です。

導入・運用には専門知識やノウハウが必要

CNAPPの導入・運用には専門的な技術やノウハウが求められます。そのため、適切なスキルを持つ人材がいないと、十分な効果を得られないかもしれません。

特に、設定管理やセキュリティ監視などは高度な専門性が必要で、担当者の知識不足や誤った運用がかえってリスクを招く恐れがあります。

導入前に社内の技術体制を見直し、必要に応じて外部の運用代行サービスやコンサルティングを活用することが重要です。十分な人材を確保することで、CNAPPを適切に活用し、確実にセキュリティを強化できます。

製品ごとの機能差に注意する

CNAPP製品はその成り立ちや開発背景により、機能ごとの得意・不得意に大きな差があります。

例えば、CSPMを基盤として発展したCNAPP製品は設定ミスの検出に優れている一方で、CIEMやCWPPの機能がやや弱い場合があります。同じ名称の機能を備えていても、脅威の検知能力や対処性能に差が出るケースも珍しくありません。

そのため、導入前に必ず複数製品を比較し、メーカー提供の評価環境などを活用して、自社に最適な製品を見極めることが重要です。

CNAPPを導入するなら、JBCCの「IaaSセキュリティ監査サービス」がおすすめな理由

CNAPPを導入するなら、JBCCの「IaaSセキュリティ監査サービス」がおすすめな理由

CNAPPの導入や運用には、高度な知識や多くの工数が求められるため、自社だけで完結するのは容易ではありません。そこでおすすめなのが、JBCCが提供する「IaaSセキュリティ監査サービス」です。

ここでは、本サービスをおすすめする理由を下記4つの観点から詳しく解説します。

  • 自社に専門家がいなくても高度なセキュリティ対策が可能
  • 導入・運用の手間や負担を大幅に削減できる
  • マルチクラウド環境でもシンプルに管理可能
  • 自社だけでは気づけないリスクを第三者視点で発見できる

それぞれについて、詳しく解説しましょう。

1. 自社に専門家がいなくても高度なセキュリティ対策が可能

自社に専門の人材がいなくても、クラウド環境の高度なセキュリティ対策を実現できます。

CNAPPの導入・運用には専門的な知識が求められますが、セキュリティ人材の確保が難しい企業も多く、運用負荷が課題となりがちです。本サービスでは、経験豊富なセキュリティエンジニアが企業のクラウド環境を診断し、設定ミスや脆弱性を洗い出したうえで改善策を提案します。

そのため、自社に専門家を置かなくても、限られたリソースで安全かつ効率的なセキュリティ体制を整備できます。

2. 導入・運用の手間や負担を大幅に削減できる

CNAPP導入・運用に伴う煩雑な業務を、高度な知識とノウハウを備えた専門家に任せられます。

自社でCNAPPを運用する場合、初期設定、定期的なリスク監視、レポート作成などにより、担当者の作業負担が増加してしまいます。本サービスを活用することで、負荷の大きな作業を専門家に任せることが可能です。

結果として、少ない負担で高度なセキュリティ環境を維持できるようになります。

3. マルチクラウド環境でもシンプルに管理可能

複数のクラウド(AWS、Azure、GCPなど)を運用するマルチクラウド環境でも、一元的かつシンプルにセキュリティを管理可能です。

マルチクラウド環境では、各サービスごとに設定や監視を個別に行う必要があり、運用が複雑化し、担当者の負荷が増加します。本サービスでは、異なるクラウドサービスのセキュリティリスクを一括で監査・診断できるため、煩雑な運用業務が簡素化されます。

その結果、クラウド環境全体の状況が一目で把握可能となり、効率的かつ安定した管理を実現できます。

4. 自社だけでは気づけないリスクを第三者視点で発見できる

社内の診断だけでは見落としてしまう潜在的なセキュリティリスクを、第三者の視点から客観的に発見できます。

自社のみでセキュリティ対策を続けていると、担当者の慣れや思い込みによって設定ミスや脆弱性に気づけなくなるケースが少なくありません。本サービスでは、中立的な専門家が独自の知見を用いて監査・評価を実施します。

自社内では気づけなかった問題点を的確に洗い出し、セキュリティの水準を確実に向上できます。

CNAPP関連サービスの導入にお悩みの方はJBCCにご相談ください

本記事では、CNAPPの仕組みや必要性、具体的な構成要素、導入するメリット、運用時の注意点を解説してきました。

CNAPPは、クラウド環境のセキュリティ対策を統合的に管理できる有効な手段です。しかし、導入・運用する際には、高度な知識やノウハウ、継続的な対応が求められます。そのため、自社だけで最適な運用体制を整えることが難しいと感じる企業も多いのではないでしょうか。

JBCCでは、豊富な実績と専門性を活かし、お客様のクラウド環境に応じた最適なセキュリティ対策をサポートしています。

「IaaSセキュリティ監査サービス」のサービス内容:

  • Q&A対応:製品やアラート、本サービスに関するお問い合わせをメール・電話でサポート。
  • 定期ミーティング・分析レポート:セキュリティリスクを分析し、専門家によるレポート作成とWeb会議での報告を実施。
  • 運用相談:分析レポートに基づく運用改善のアドバイスを提供。
  • アラート通知設定:事前に合意した内容のアラートを設定・通知。
  • 資産検出(新規VM):新規の仮想マシン検出時にアラート通知と報告を実施。
  • アンチウイルス未導入チェック:アンチウイルス未導入の仮想マシンを検出し、アラート通知と報告を実施。

CNAPPの導入をご検討中の方は、ぜひ一度JBCCにご相談ください。

IaaSセキュリティ監査サービス

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マルチクラウド環境(AWS、Azure、GCP)を対象としたIaaS環境のセキュリティリスクについて一元的に監査・診断し、お客様のセキュリティリスクを低減いたします。

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