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2024年08月27日

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システムの土台「構想策定」とは?プロセスと成功のポイント

システムの土台「構想策定」とは?プロセスと成功のポイント

昨今、クラウド化やDX化、システムの老朽化などから、多くの企業にとって基幹システムの再構築は避けては通れない課題の一つでしょう。 特に 基幹システムの開発は多額の費用がかかるため、開発が成功するか否かは企業の成長に大きく影響を及ぼします。DXが浸透してきた昨今において、システム開発は効率化を推し進め人材不足などを解消する方法でもありますが、上流工程の不十分さや開発途中の仕様変更などで開発期間が延びてしまうと費用が嵩み、多額の損失となる可能性もあります。
基幹システム開発の事例を見てみると、「構想策定」の確実な実施がシステム開発の成功要因の一つであることが多いです。
本記事では、システムの土台となる構想策定について、プロセスや成功のポイントをご紹介します。

構想策定とは

構想策定とは、システム開発や業務 改革において、最初に行うシステム構想計画や企画のことです。システム開発では要件定義や設計を上流工程と呼びますが、構想策定はそれよりも前に行う工程です。このことから超上流工程と 呼ばれることもあります。

▼上流工程とは?システム開発で起こり得るリスクと管理の重要性
https://www.jbcc.co.jp/blog/column/development-upstream-process.html

構想策定では、現状を把握して課題と要望を見つけ、システムの方向性を決めます。そこから開発や構築のための計画を立てていくのが基本です。

要件定義との違い

構想策定と要件定義の違いは「アウトプットの内容」です。
構想策定は、現行システム、現行業務を調査して課題と要望を導き出し、システムの方向性やプロジェクトの内容を決めます。要件定義は構想策定で見つかった課題と要望をもとに、システムに必要な要件を導き出すフェーズです。構想策定で「こういう課題と要望があるからこういうシステムを開発・構築 したい」と定めて、要件定義で「構想策定で定めた新システム像を実現するためには、こういう機能が必要」と、具体的な仕組みに落とし込んでいきます。

構想策定が必要な理由

システム開発・構築における失敗例でよくあることが「要件定義が曖昧だった」ですが、そもそも要件定義が曖昧になる理由は、もととなる構想策定がしっかりできていない場合が多くあります。構想策定は、システム開発・構築における「土台」であり、要件定義や設計は「間取り」を決める作業、システムは「家」です。間取りや家がどんなに立派でも、土台がしっかりしていなければ崩れてしまうのと同じように、構想策定をしっかりしておかないと、完成したシステムに大きな影響を及ぼします。
構想策定で「要件定義の裏付け」ができていれば、開発側も要件の「理由」を理解して開発できるため、目的に沿ったシステムを作りやすくなります。
また、システム開発や構築においては、完成から離れた工程での誤差ほど、実際のシステムに大きく影響するとされています。構想策定は完成から最も離れた工程のため、構想策定が不十分であると、開発もうまくいかない可能性が高くなります 。
こうしたリスクを防ぐためにも構想策定をしっかり行うことが重要 といえます。

構想策定のプロセス

先述したように、構想策定はシステムの土台となる非常に重要な部分です。そのため、しっかりとしたプロセスを経て、十分な準備をする必要があります。ここからは構想策定のプロセスをご紹介します。

①事前準備

まずは、構想策定の事前準備をしましょう。事前準備で行うのは、主に現状把握ができる情報を集めることです。現行システムの全体図や業務フロー、機能やデータベースなど、設計・開発に必要となる情報を集めましょう。

②現状分析(AsIs)

次に集まった情報を整理して分析し、現状の課題を見つけます。全体図や業務フローを確認するほか、各部署の担当者から現行の不満点を聞くなどして、課題を見つけていきましょう。
また、ヒアリングでは内容が曖昧にならないよう、事実確認を合わせて行うことが大切です。

③ビジョンの構想(ToBe)

解決すべき課題を導き出したら、ビジョンの構想を行います。
ビジョンの構想では「自社のあるべき姿」を見つけ、実現できるかを判断します。このときに大切なことは「目先の姿ではなく、もっと先の姿」を想像することです。
TOPインタビューを実施し、経営課題を明確にし、システム導入によってどのような経営課題が解決されることになるのか、紐づけが必要です。
DXではよく「業務効率化」が叫ばれますが、ただレガシーシステムを改修して効率化しただけでは、業務課題が改善されない場合があります。このような場合は、システムだけに問題があるのではなく、システムの外にも問題がある可能性が高いです。「何のために課題を解決するのか」を考えてビジョンを作ることで、本当の問題を浮き彫りにして 、包括的な解決策を立案できます。
また策定したビジョンが実現できるか、リソースやコストの面で考えることも大事です。

④戦略立案・実行計画策定(CanBe)

ビジョンの構想を行ったら、戦略を立案して、実行計画を策定します。
策定したビジョンを実現するには、何をするべきか、いつすべきかなどを検討して、戦略と計画、スケジュールを立てていきましょう。自社の予算、期間にあった現実的な計画を立てることが重要です。
また施策には優先順位をつけましょう。特に優先すべきは、法改正などで期限が決まっているものです。
構想策定は、片手間に行うのではなくしっかりと時間を設けて行うことが大切です。

構想策定成功のポイント

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構想策定では、目標を設定して企業が一丸となること、開発側とコミュニケーションをとること、外部環境に対応することが大切です。社員や経営陣の理解が得られない、開発側との意思伝達がうまくいかない状況では、システムが希望通りのものになりません。ここでは、構想策定成功のポイントを詳しくご紹介します。

目標設定を明確にする

構想策定では、目標設定を明確にすることが大切です。ビジョンを実現するために、何を、いつまでに、どのレベルで解決したいのかが明確になっていないと、適切な要件を導き出せません。
目標を設定する際には、具体的で実現可能な内容にすることが大切です。実現不可能な目標を設定していると、目標が形骸化して社員のモチベーションが下がってしまいます。
また目標はあくまで「目的・ビジョン」を実現させるための指標であり「目標=目的」ではない点は常に意識する必要があります。もし環境が変わって、現在の目標設定では目的が達成できないと判断した場合には、目標を再設定しましょう。

経営陣を巻き込む

構想策定では、経営陣を巻き込みましょう。構想策定において経営陣の参画が重要とされる一番の理由は、「経営課題を明確にすること」「経営陣を現場と同じ方向を向かせるのと同時に、現場を経営陣と同じ方向に向かせる」ことです。まず、経営陣は現場が何に困っているのかを理解することが重要です。
システム再構築に伴い、業務が大きく変わることもあります。今までの作業に慣れている現場からすると、大きな変化 は一時的に作業効率が落ちるなど、あまり歓迎されないこともあるでしょう。
しかし、現場が経営陣の視点を持ち、何のためにこのシステムが必要なのかを理解することで、開発がスムーズに進み、新システムが定着・活用しやすくなります。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調査 によると、既存製品・サービスの高付加価値化に成果があったと回答したのは、IT業務に見識のある役員がいる場合の方が多くなっています。

▼DX白書2023(独立行政法人情報処理推進機構)
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/dx-2023.html

企業では、自分の関わる業務は把握していても、他部署の業務は把握できていない場合が多く、また社長でも現行のシステムや業務をすべて把握することはできません。経営陣と定期的にコミュニケーションをとり、システムが目指す姿を共有しましょう。同時に現場と経営陣のギャップを埋めていきます。
システム開発は、企業文化の変化や予算の確保なども必要となるため、経営陣の理解が必要不可欠です。経営陣と社員が同じ方向を向き、一丸となって構想策定を行えるようにしましょう。

開発側とコミュニケーションをとる

構想策定の際には、開発側と密にコミュニケーションをとることが大切です。
システム開発・構築が失敗する要因のひとつに「発注側と開発側のコミュニケーション不足」が挙げられます。お互いに「理解した」と思い込んでいても、実際には認識のズレがあったなどの例は多いため、齟齬がないように確認をしながら構想策定を進める必要があります。特に発注側は開発側に開発・構築を丸投げしてしまうこともありますが、丸投げをすると思った通りのシステムが出来ず、再開発のために無駄な時間やコストがかかってしまいます。
発注側は構想策定に積極的に参加し、自社の対応範囲を明確にしてプロジェクトを進めることが大切です。
もし分からないことがあれば、開発側に質問・確認を行いましょう。

外部環境に柔軟に対応する

構想策定は、外部環境に柔軟に対応できるものにしましょう。現代のIT業界は非常に変化のスピードが速く、システムを構築する頃には、社会や市場の情勢が変わっている、技術が新しくなっていることも珍しくありません。
そのため開発・構築するシステムは、変化することを前提にして、柔軟性の高いものにする必要があります。柔軟性があれば変化にもスピーディに対応できる上、継続的に改善を行っていけます。場合によっては、自社内での更新や開発ができるような環境を整えることも必要です。

JBCCの構想策定事例

JBCCでは、構想策定に力を入れています。今回は、JBCCが構想策定をサポートした事例をご紹介します。
埼玉県でチルドデザートの製造と販売を行っている「モンテール」さまでは、メインフレームで構築したシステムの老朽化に伴い、システムをオープン化することにしました。この際にGeneXusを開発ツールとして選択。JBCCはアジャイル手法を用いながらも、現状分析を含めた構想策定、開発、内製化支援も可能ということでご依頼をいただきました。
構想策定、要件定義に1年ほどの時間をかけ、JBアジャイルでシステムを開発。JBCCと業務部門が密にコミュニケーションをとることで、認識の齟齬をなくしました。
また時間をかけた構想策定によって、しっかりした基盤構築を行えました。結果的にDXにつながる取り組みになったとのお声をいただいております。
モンテールさまの詳しい事例は下記よりダウンロードできます。
https://www.jbcc.co.jp/download/dev/monteur/dlform.html

まとめ

構想策定はシステム開発において、非常に重要な工程です。目的と目標を明確にし、社内が一丸となってシステム開発に取り組める環境を整えましょう。
JBCCの「JBアジャイル」では、一般的なアジャイル開発では行われない構想策定と要件定義を行っています。スコープを明確にしたアジャイル開発で、高品質なシステムの高速開発が可能です。大規模開発を含めて480 件以上の開発実績があり、柔軟な対応や保守性の高さなどを評価されています。

▼超高速開発手法 JBアジャイル
https://www.jbcc.co.jp/products/solution/dev/jbagile/

システム開発の際には、JBCCにお気軽にご相談ください。

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JBCC株式会社は、クラウド・セキュリティ・超高速開発を中心に、システムの設計から構築・運用までを一貫して手掛けるITサービス企業です。DXを最速で実現させ、変革を支援するために、技術と熱い想いで、お客様と共に挑みます。