GeneXus 開発をAIエージェントで効率化!3カ月で1,100件の質問に即時回答した Microsoft Teams 連携活用術
- Microsoft Teams を活用したAI質問箱で、GeneXus 開発のナレッジ共有と業務効率化ができる仕組み
- AI質問箱導入による現場の変化や若手エンジニアの自立支援
- ナレッジ再利用・属人化解消による生産性向上のポイント
こんにちは。
JBCC SI事業 技術戦略本部 SEの牧内、蔡、川崎です。
普段はローコード開発ツール GeneXus を活用したシステム開発や現場の開発支援を担当しています。
私たちのチームではこれまで、開発現場で「この仕様って前どうだったっけ?」とか「過去のやりとりをもう一度確認したい」といった問い合わせが少なくありませんでした。
とはいえ、過去のナレッジは文書やチャネルの中に埋もれがちで、思うように活かせていない…そんな声も多く聞かれました。
そこで「もっと気軽に、もっとスピーディに答えを得られる仕組み」として、社内に「AI質問箱」を Microsoft Teams 上で構築し活用しています。
本記事では、その仕組み・背景とねらい、そして導入によって実現した効果についてご紹介します。同じようにナレッジ共有の仕組みにお悩みの方々の参考になれば幸いです。
GeneXus 開発現場におけるAI質問箱と活用の背景
JBCCでは、Teams 内に「質問箱」というチームを設け、システム開発に関する疑問や課題を気軽に投稿・回答できる仕組みを運用しています。
特に、ローコード開発ツール「GeneXus」に関する質問が多く、外部に有用なナレッジが少ないことから、社内で知見を蓄積し、解決する場として機能しています。
運用開始から数年で、質問は600件以上を超え、社内の技術力と協働姿勢を示す証となっています。
しかし、Teams の検索機能には限界があり、過去のナレッジを探しにくいという課題がありました。
また、共通チャネルであるがゆえに、若手から初歩的な質問をしづらいという声も聞かれます。
ナレッジはあるのに、活用できない――この課題を解決するため、私たちはAIを活用し、質問への即時回答を可能にする「AI質問箱」を構築しました。
Microsoft Teams × AI質問箱によるナレッジ共有の仕組み
「AI質問箱」は、質問者からの問いに対して、過去の質問や公式ドキュメントなどのナレッジをもとに、AIチャットボットが自動で回答する仕組みです。
これにより、必要な情報を即座に検索し、自然な文章で回答することが可能になりました。
■「AI質問箱」での会話の様子
GeneXus 開発を効率化するAI質問箱の構成と役割
「AI質問箱」を構成する要素と、それぞれの役割について簡単にご紹介します。
元々「質問箱」は Teams 上で手動運用していたため、AI化にあたっても、Webアプリではなく Teams 上で動作するチャットボット形式にこだわりました。
これは、現場のユーザーが使い慣れた環境で、追加ツールなしに利用できることを重視したためです。
もちろん、AIの精度にもこだわりました。特に、過去のナレッジを正しく見つけるための検索機能は、回答の質を左右する重要なポイントです。
だからこそ、AIが適切な情報を選び、自然な回答を返せるよう、検索精度には細心の注意を払っています。
■イメージ図
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膨大なナレッジデータ( Teams 、ドキュメント)
社内メンバーは、Teams 上の「質問箱」に質問や回答を投稿。ここで蓄積された情報や公式ドキュメントの情報が、AI活用の基盤となります。 -
AI処理
整形されたナレッジデータをもとに、AIが検索と回答生成を実施。
過去の知見を活かし、質問に対して最適な回答を導き出します。 -
AI質問箱( Teams 連携チャットボット)
ユーザーは、Teams 上でAIチャットボットに質問可能。
社内メンバーの意見を集計・分析するため、フィードバック機能を追加し、改善に役立てています。
AI質問箱導入による Microsoft Teams 活用と業務効率化の効果
1. 利用状況の可視化
AI質問箱は、導入後すぐに現場で活用され始め、約3か月ですでに1,138回の質問に回答していました。回答数(利用状況)を示すグラフからも、その定着度がわかります。
質問や回答のやり取りが継続的に行われており、ナレッジ活用の文化が根付いてきています。
■回答数(利用状況)を示すグラフ
2. 若手エンジニアの自立支援
特に20代~30代の若手メンバーによる利用が目立ちました。
これまで「先輩に聞く」ことが前提だった場面でも、AI質問箱を使うことで、自分で解決できるケースが増加しました。
Microsoft Teams × AI質問箱が生み出すビジネス価値とは
これまでご紹介したように、AI質問箱は、膨大に蓄積されたナレッジを「眠らせず」「使いやすく」「いつでも取り出せる」仕組みとして機能しています。
- 社内の過去情報を有効活用できるようになったこと
- 若手も含めたメンバーが自律的に疑問を解決できるようになったこと
- そして、属人性に頼らず、誰でも同じ水準で情報にアクセスできるようになったこと
これらはすべて、「ナレッジ共有」「効率化」「品質安定化」という、SEである開発チームにとっての本質的な価値の実現につながっています。
もし「社内でナレッジ共有を強化したい」「効率的に過去情報を活用したい」と考えているなら、ぜひ一度この仕組みを参考にしてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※本記事は執筆時点の仕様に基づいています。今後、仕様が変更される可能性がありますので、参考情報としてご覧ください。
よくある質問
- AI質問箱の導入でどんな効果がありましたか?
- ナレッジ共有の効率化、若手エンジニアの自立支援、属人化の解消などが実現しました。
- Microsoft Teams 上でAI質問箱を使うメリットは?
- 使い慣れた環境で追加ツール不要、即時回答が得られる点です。
- GeneXus 以外の開発にも活用できますか?
- 社内ナレッジ共有全般に応用可能です。
執筆者

牧内 信吾
JBCC株式会社 SI事業 技術戦略本部
小売・学習塾業界の基幹システム構築をはじめ、多様な役割で複数プロジェクトに参画。
現在は、SEの技術課題解決を支援するAIチャットボットをはじめ、生成AIを活用したSI事業の業務効率化に取り組む。

蔡 万騰
JBCC株式会社 SI事業 技術戦略本部
全国のお客様に向けて、GeneXusベースの超高速開発の実装を担当。
AIエンジニアとして、AI開発スキル向上に日々取り組む毎日。

川崎 梢
JBCC株式会社 SI事業 技術戦略本部
2020年新卒入社。アプリケーションエンジニアとしてキャリアをスタート。
建設業界や教育業界などの業務システム開発に従事し、超高速開発案件にも携わる。
プログラマーとしての開発経験を積みながら、設計など上流工程にも関わり、より高い付加価値を提供できるエンジニアとして活動中。
JBCC株式会社について
クラウドサービスを中心にシステムの設計から構築、運用までを一貫して手掛けるITサービス企業です。超高速システム開発を特長とし、セキュリティ・AI等のサービスとともに、お客様のシステムの課題を技術力とスピードで解決します。
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