2023年にスタートするインボイス制度。具体的には何が変わるのか、必要な対応策について解説

公開日 : 2022年02月07日
更新日 : 2022年02月07日

2023年10月から「インボイス制度」が始まります。複雑化した消費税を適正に計算するための制度ですが、これまでの税制度と何が違うのか、実際にすべき対応など、迷っている人も多いでしょう。
この記事では、インボイス制度の内容と必要な対応策について解説します。

目次

インボイス制度とは

インボイス制度導入の背景
インボイス制度の適用要件
適格請求書とは
用語の説明

インボイス制度導入の影響と必要な対応

課税事業者への影響と必要な対応
免税事業者への影響と必要な対応
経理業務への影響と必要な対応

まとめ

インボイス制度とは

インボイス制度は「適格請求書」を交付・発行する制度のことで、正式には「適格請求書等保存方式」と言います。適格請求書は定められた項目を明記した請求書のことで、売り手は買い手に求められた場合、適格請求書を発行しなければなりません。また買い手側も、売り手が発行した適格請求書の保存等が必要です。

インボイス制度導入の背景

インボイス制度には、軽減税率によって複雑化した消費税額を正確に把握する狙いがあります。

以前は消費税率が一律だったために、商品の適用税率を考えなくても問題はありませんでした。このときの請求書の形式を「請求書等保存方式」と言い、基本的に消費税率は明記されていません。
その後、標準税率が10%になりました。ただし、食品などは8%で据え置きとなり、2つの税率が存在することになったのです。そのため、売り手は商品ごとに適用される税率を記載し、請求する必要があります。
このように軽減税率である旨を明記し、各税率で計算したものが「区分記載請求書等保存方式」です。

2023年10月に始まるインボイス制度では、より税率をはっきりさせることで正確な経理業務を行い、適正な経理を行うことを目的としています。

インボイス制度の適用要件

インボイス制度適用要件の大きなポイントは「仕入税額控除」です。仕入税額控除とは、買い手との取引で預かった消費税から、自社が支払った分を引いて税を納付するシステム。例えば、標準税率で3万円のものを販売して3,000円の消費税を預かったとします。加えて自社で5,000円の買い物をして、500円の消費税を支払ったとしたら、預かっている3,000円から支払った500円を控除して、2,500円の消費税を納めます。これが、仕入税額控除のシステムです。

これまでは区分記載請求書等保存方式であれば、仕入税額控除の認定を受けられました。しかし2023年10月からは、適格請求書等保存方式が認定の条件になります。もし仕入税額控除が認められない場合、必要以上の消費税を支払わなければなりません。先ほどの例で説明すると、支払った500円の消費税が控除できないため、自社は3,000円の消費税を納めることになるのです。

【仕入税額控除の要件】

~令和5年9月
【区分記載請求書等保存方式】
令和5年10月~
【適格請求書等保存方式】
(いわゆるインボイス制度)
帳簿

一定の事項が記載された帳簿の保存

(区分記載請求書等保存方式と同様)

請求書等

区分記載請求書等の保存

適格請求書(いわゆるインボイス)等の保存
※ここが変わります

適格請求書とは

「適格請求書」とは、軽減税率と標準税率を明確に分けた請求書のことです。具体的には、以下9つの項目が明記されているものを言います。

  1. 請求書を発行した事業者の氏名、もしくは名称
  2. 取引した日付(年月日)
  3. 取引の内容
  4. (軽減税率が適用される場合)軽減税率が適用される旨
  5. 各税率について商品の合計金額
  6. 書類の交付を受ける事業者の氏名、もしくは名称
  7. 課税事業者に発行される登録番号
  8. 適用税率
  9. 各税率の消費税額

なお、区分記載請求書は上記の1~6までを明記した請求書を言います。


適格請求書とは

用語の説明

ここからは、インボイス制度を知るために必要な用語の定義を解説します。

・売り手
商品を販売する側で、適格請求書を発行する事業者を言います。また交付した適格請求書のコピーを保存する義務があります。

・買い手
売り手から商品を購入する側です。適格請求書を保存し、売り手から預かった消費税を納めます。

・課税事業者
消費税を納めている事業者です。年間で課税される売上が1,000万円を超える場合は、消費税を納めると決められています。

・免税事業者
消費税を納付する義務のない事業者です。基本的に課税される売上額が年間1,000万円以下なら、こちらに該当します。

インボイス制度導入の影響と必要な対応

インボイス制度の導入によって、売上税額と仕入税額の計算が一部変更されます。


売上税額では原則これまでと同じ割戻計算(総売上をもとに消費税を算出する方法)で算出しますが、インボイスを交付していれば、特例として「積上計算」が認められます。これは、適格請求書の消費税の合計に100分の78を掛けて消費税を導き出す方法です。

一方、仕入税額では、これまでと同じように原則積上計算を行います。ただし、こちらも特例として、税率ごとの支払額の合計に110分の7.8(軽減税率の対象となる商品は 108分の6.24)を掛けて導き出す方法が認められます。

なお、売上税額で積上計算を行った場合には、仕入税率も積上計算で行います。仕入税額のみ割戻計算を行うことは、認められていません。

このように、手間のかかる計算を行うインボイス制度は事業者に大きな影響を与えます。課税事業者はもちろん、免税事業者も今後の仕事に関わってくる問題です。企業では、経理業務に負担がかかるでしょう。以下では、課税事業者、免税事業者、経理業務への影響と、それぞれに必要な対応をご紹介します。

免税事業者への影響と必要な対応

課税事業者への影響と必要な対応

課税事業者がインボイス制度によって受ける影響は、売り手(インボイスを交付する側)と買い手(インボイスを交付される側)で違います。

まず売り手の場合は、適格請求書発行事業者の登録が必要です。インボイス制度の開始時(2023年10月1日)に登録事業者になっておくには、2023年3月31日までに「適格請求書発行事業者の登録申請書」を税務署に提出しなければなりません。

また、適格請求書発行事業者になったら何をしなければならないのか、どのような場合であれば交付をしなくても良いのかも知っておきましょう。基本的に適格請求書発行事業者は買い手に要求された場合、適格請求書を発行し、またそのコピーを保存する義務があります。ただし、以下のような場合には、適格請求書を発行する必要はありません。

  • バスや鉄道、船などの公共の移動手段を用いた旅費で3万円未満のもの
  • 卸売市場などで行われる生鮮食品等の譲渡
  • 農協や漁協、森林組合等を介して行われる農林水産物の譲渡(生産者が特定できないものに限る)
  • ジュースなど自動販売で購入した3万円未満のもの
  • ポストを利用した郵便サービス

一方、買い手側の場合は、帳簿の管理や記載が必要です。特に常に取引を行っている免税事業者が適格請求書発行事業者になるのか、事前に確認しておきましょう。もし、免税事業者が適格請求書発行事業者にならない場合、消費税コードを課税事業者と分けて管理する必要があります。

免税事業者への影響と必要な対応

インボイス制度が免税事業者に与える影響として最も大きな問題は、取引を停止される可能性です。

適格請求書発行事業者になれるのは課税事業者のみで、免税事業者では適格請求書発行事業者にはなれません。課税事業者は、適格請求書発行事業者との取引でなければ、預かった消費税から支払った消費税を差し引いて納付することが認められていません。つまり買い手側としては、免税事業者と取引をすると、納める消費税額が増えるデメリットがあります。こうしたことから「適格請求書が発行できないなら取引しない」と考える課税事業者も出てくるでしょう。

こうした事態を防ぐには、免税事業者も課税事業者になることです。そのためには、課税事業者と同じく「適格請求書発行事業者の登録申請書」と「消費税課税事業者選択届出書」を税務署に提出します。2023年3月31日までに申請書を提出すれば、消費税課税事業者選択届出書がなくても、課税事業者になることが可能です。

一方で、適格請求書発行事業者にならなくても問題のないケースもあります。例えば、取引先が課税事業者ではなく個人が主である場合や、インボイス制度の開始前に事業そのものを辞める場合です。こう言った場合には、免税事業者のままでも問題ないでしょう。

経理業務への影響と必要な対応

経理業務は、インボイス制度で特に煩雑になる部分です。具体的には適格請求書の仕様に合わせて請求書を変更したり、仕入先や帳簿の記載を課税事業者と免税事業者で分けたりしなければなりません。さらに消費税の計算方法や申告処理なども、以前とは変わってくるでしょう。

加えて電子帳簿保存法が改正されたことにより、2022年1月以降は、データで取引した請求書等はデータでの保存が義務付けられました。今後はデータでの取引も必須となるでしょう。

まとめ

インボイス制度は、課税事業者も免税事業者も大きな影響を受けます。特に煩雑化が予想される経理業務は、早急な対応が必要です。「楽楽精算」は、こうした業務を楽にしてくれます。インボイス制度導入の前に、検討してみてはいかがでしょうか。

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