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2022年09月15日

2025年05月09日

電子カルテもOK!医療法人も利用できるIT導入補助金・2022年最新版

電子カルテもOK!医療法人も利用できるIT導入補助金・2022年最新版

人手不足や地域による医療格差が問題となっている医療業界。いわゆる「団塊の世代」が後期高齢者となる2025年には、さらに医療機関の負担が増えると考えられており、早急な対応が求められています。
デジタル化を推進することで業務効率を上げ、経営力を強化することがこの課題の解決策のひとつと言えるでしょう。そうした対策の費用をサポートしてくれるのが「IT導入補助金」です。
この記事では、医療法人も利用可能なIT導入補助金について解説します。

IT導入補助金とは

IT導入補助金とは、中小企業がITツールを導入する際に利用できる補助金です。中小企業庁監督のもと一般社団法人サービスデザイン推進協議会が事務局業務を行っています。
IT導入補助金の目的は、自社に合ったITを導入することで、業務を効率化し売上をアップさせること。ITに精通した導入支援事業者と企業を結び、支援事業者と企業が協力して目的達成のためのIT導入をサポートします
製造業やサービス業、医療法人、NPO法人など、さまざまな分野で活用が可能です。
IT導入補助金には、通常枠(A類型・B類型)とセキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)、デジタル化基盤導入類型(複数社連携IT導入類型)の4種類があります。

通常枠(A類型・B類型)

通常枠は、生産性を上げるITツールを導入するための補助金です。医療であれば、電子カルテなどの診療管理システム、睡眠や脈拍など患者さまの状態を観察するための対象者状態管理システムなどで利用できます。A類型(機能プロセスが1以上)は、30万円~150万円、B類型(機能プロセスが4以上)は150万円~450万円が補助額で、どちらも費用の1/2まで負担してもらえます。

セキュリティ対策枠

セキュリティ対策推進枠は、セキュリティ対策を目的としたツールを導入するための補助金です。対象となるのは、独立行政法人情報処理推進機構が「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」として公表しているサービスのいずれかを利用する場合で、サービス利用料を最大2年分補助してもらえます。補助額は5万円~100万円で、補助率は1/2です。

デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)

デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)は、会計ソフトや受発注システムなど、企業間取引の効率を上げるために利用できる補助金です。ソフトウェアやクラウド利用料のほか、パソコンやタブレットなどのハードウェア購入にも利用できます。
ITツールの補助額は5万円~350万円で、50万円以下の場合の補助率は3/4、50万円を超える場合は2/3が補助されます。
ハードウェアでは、パソコンやタブレットは10万円まで、レジや券売機は20万円まで。どちらも1/2まで補助を受けることが可能です。

デジタル化基盤導入類型(複数社連携IT導入類型)

デジタル化基盤導入類型(複数社連携IT導入類型)は、複数の企業が連携してITを導入し、地域のDXに取り組む際に利用できる補助金です。システム導入以外にも、消費動向などの分析や団体運営のための事務費、専門家への謝礼・旅費などにも利用できます。
システム導入のための費用や補助率は、デジタル化基盤導入類型と同じです。分析費用は、補助率が2/3で上限は3000万円。事務費や謝礼は、補助率が2/3で上限は200万円となっています。

IT導入補助金の利用条件

医療法人がIT導入補助金を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 日本国内に法人格を持つ中小企業
  • 常時使用する従業員の数が300人以下
  • 1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上(過去にIT導入補助金を利用している場合には、1年後の伸び率が4%以上、3年後の伸び率が12%以上)及びそれと同等以上の生産性の向上が見込める計画書を提出すること

IT導入補助金が利用できるもの

IT導入補助金は、業務効率化を目的としたものであれば、幅広く利用できます。医療法人でもさまざまなITツールに活用可能ですが、ここでは代表的な3つのツールをご紹介します。

電子カルテなどの患者さま情報管理

IT導入補助金を利用できる代表的なツールに、電子カルテがあります。電子カルテとは、患者さまの診療履歴などをデジタル化して記録するものです。紙のカルテと違って探す手間がない、置き場所も不要になるなどのメリットがあります。また、電子カルテをクラウド型にすることで、訪問診療などの院外でも利用できる、クラウド提供企業が最新のセキュリティを保ってくれるなどの利点があることも特長です。
電子カルテは、現在厚生労働省が標準化を目指して推進しているツールです。同省の「電子カルテシステム等の普及状況の推移」によると、令和2年の一般病院の電子カルテ導入率は57.2%。ただ、病床が200床未満の病院では48.8%と、小規模な医療機関であるほど普及率は低くなっています。2022年7月現在、厚生労働省においても「電子カルテ標準化に関する補助金」が検討されており、今後一般的になるツールと言えるでしょう。
また電子カルテの導入だけでなく、個人情報と電子カルテを別々に管理し、会計時などの必要なときのみ連携させるといったシステムでもIT導入補助金が利用できます。

オンライン診療システム

オンライン診療システムの導入にも、IT導入補助金が活用できます。オンライン診療システムとは、対面ではなくインターネットを通じてオンラインで診療を行うシステムです。もともとは医療機関のない離島や僻地向けに行われていましたが、新型コロナウイルスの流行によって、注目されるようになりました。
オンライン診療は、遠方にいる患者さまの経過観察や軽度の病床に適しています。通院と違って事前に問診を行えるため、診療の質が上がる、忙しい患者さまの診療ができるなどのメリットがあります。薬や処方箋も郵送で送ることが可能です。
なお、オンラインで保険診療を行う場合には、事前に厚生局に届出をする必要があります。「基本診療料の施設基準等に係る届出書」「情報通信機器を用いた診療にかかる届出書添付書類」に必要事項を記入し、最寄りの厚生局に届けましょう。

医療デジタル画像管理

医療デジタル画像管理を導入する場合も、IT導入補助金が利用できます。医療デジタル画像管理とは、CTやMRIなどで撮影した画像をデータで保存するシステムです。「Picture Archiving and Communication Systems」、略して「PACS」と呼ばれることもあります。
医師法では、カルテや画像保存は一定の期間保管しなければならないと定められています。しかし、紙で出力されたものやフィルムなどは保管する場所が物理的に必要です。加えて、継続治療のことを考えると、定められた期間が過ぎても画像を処分できないなどの難点がありました。
デジタル画像管理なら、場所は必要ありません。電子カルテと同じく探す手間がなく、過去画像との比較も容易です。さらに、電子カルテなどと紐づけることによって、人的ミスを防げることもメリットと言えます。

上記のようなツールを導入することで、作業の手間が省け、効率を大幅にアップさせることが可能です。このほかにもさまざまなITツールが導入できます。詳しくは「IT導入補助金2022 公募要項」をご覧ください。

▼IT導入補助金2022 公募要項
https://www.it-hojo.jp/r03/doc/pdf/r3_application_guidelines.pdf

IT導入補助金の手順

ここからはIT導入補助金申請のための手順をご紹介します。

①IT導入支援事業者と導入したいツールを選定

まずは、IT導入支援事業者と導入したいツールを選定します。IT導入補助金では、事務局に登録されているIT導入支援事業者と協力して業務の効率化を進めていきます。ITツールとIT導入支援事業者は、公式HPで検索が可能です。

▼IT導入支援事業者・ITツール検索
https://portal.it-hojo.jp/r3/search/

IT導入支援事業者は、営業地域や取扱業種、目的などを考えて選びましょう。同時に公募要項をよく読み、要件や必要なもの、申請の流れなどをよく理解しておくことも大切です。

②申請条件を満たすための準備

IT導入支援事業者と導入するツールを決めたら、申請条件を満たすための準備を行います。具体的には「gBizIDプライムアカウントの取得」「SECURITY ACTIONの実施」が必要です。

gBizIDプライムアカウントの取得

まずはgBizIDのホームページにアクセスして、gBizIDプライムアカウントを取得しましょう。
gBizIDは、アカウントを取得することでさまざまな行政サービスを受けられるシステムです。IT導入補助金の申請作業は、基本的にgBizIDを使って行われます。
アカウントを作成するには、下記の手順に従ってください。

  • gBizID(https://gbiz-id.go.jp/top/)の「gBizIDプライム作成」をクリックして、必要事項を入力
  • 入力内容を確認し、申請書をダウンロード
  • 申請書を印刷して記名捺印し、印鑑証明書と一緒に郵送
  • 問題がなければ2週間以内に「gBizIDプライム登録申請受付のお知らせ」というメールが届く
  • メールのURLをクリックしてワンタイムパスワードを取得
  • スマホなどに届いたワンタイムパスワードでログイン
  • パスワードを設定

gBizIDプライムはサイトで申請してから発行まで2週間程度かかるため、早めに申請を行いましょう。

SECURITY ACTIONの実施

IT導入補助金を申請するためには「SECURITY ACTION」の「一つ星」または「二つ星」を宣言している必要があります。SECURITY ACTIONとは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって定められた、中小企業が自社でセキュリティ対策に取り組むことを宣言する制度です。
一つ星では、OSやソフトを常に最新に保つ、ウイルス対策ソフトを導入する、パスワードを強化するなどの「情報セキュリティ5ヶ条」に取り組むことを宣言します。二つ星の場合は、「5分でできる!情報セキュリティ自社診断(https://www.ipa.go.jp/files/000055848.pdf)」で自社の状況を把握し、情報セキュリティポリシー(基本方針)を作成して外部に公開する必要があります。
実施後には専用サイト(https://security-shien.ipa.go.jp/security/index.html)から手続きを行いましょう。ロゴが使用できるようになるには、1週間~2週間程度かかります。

③交付申請と決定

事前準備が済んだら、IT導入支援事業者とともに事業計画書を作成します。
事業計画の作成が完了すると、IT導入支援事業者から「申請マイページ」の招待を貰えるので、そこからgBizIDを使用してログイン。必要事項の入力や書類を添付して申請を行います。法人の場合は、

  • 履歴事項全部証明書(申請日から3ヶ月以内に発行されたもの)
  • 法人税の納税証明書

上記2つの書類が必要です。なお、書類は上記2つであることが必須とされており、代替は一切認められていません。
その後、外部審査委員会が申請を受理すれば、交付が決定します。

④事業の実施

交付が決定したら、提出した事業内容に基づいて事業を実施しましょう。この際に注意したいのは、最初に契約を行うこと、必ず交付決定通知が来たあとに事業を実施することです。通知前に実施された内容や契約前に請求を行っていた場合は、補助金が交付されません。

⑤実績報告

事業を実施したら、実績を事務局に報告します。報告には請求や支払い、購入にかかわる書類が必要になるため、必ず保管しておきましょう。なお、客観的な事実を担保するため、支払いは原則銀行振込、もしくはクレジットカード1回払いと決められています。現金での支払いは対象とならないため、支払いの際は注意が必要です。
報告は、申請マイページから行います。必要事項を入力して書類を添付したら、IT支援事業者が確認して、補助事業者へフィードバック。修正等を行って事務局に提出します。
申請の際には、ITツールの導入や支払いが済んでいるかを確認しましょう。場合によっては交付が取り消しとなる可能性もあるため、手引きに従って正確に申請されているかが大切です。

▼事業実施・実績報告の手引き
https://www.it-hojo.jp/r02/doc/pdf/r2_completion_manual.pdf

⑥補助金額の決定と交付

報告完了後、適切に事業を実施したと認められれば、補助金額が決定して補助金が交付されます。

交付されやすくするためのポイント

IT導入補助金を交付されるには、外部審査委員会に事業内容を認めてもらう必要があります。ここからは、交付されやすくするためのポイントを2つ、ご紹介します。

厚生労働省標準規格に基づいた管理が行えるものを選ぶ

1つ目のポイントは、厚生労働省標準規格に基づいた管理が行えるものを選ぶことです。IT導入補助金では、医療分野におけるツールの要件に「厚生労働省標準規格に基づいたデータの共有や二次利用を円滑に行うことが可能なツール」と定めています。
現在、医療業界で利用されているシステムは非常に多様です。しかし標準化されていないシステムでは、新しいシステムに移行する際に多大なコストがかかったり、医療機関同士でのやりとりができなかったりといった問題がありました。
そこで厚生労働省は、医療情報を標準化するための規格を設けています。それが「厚生労働省標準規格」です。IT導入補助金を利用する際には、この規格に基づいたツールでなければ、交付を受けることは難しいでしょう。
標準化された規格は一般社団法人医療情報標準化推進協議会(HELICS協議会)のサイトで確認できます。

▼「医療情報標準化指針」一覧(採択されたもの)|一般社団法人医療情報標準化推進協議会(HELICS協議会)
http://helics.umin.ac.jp/helicsStdList.html

加点対象を加味した事業計画を考える

2つ目のポイントは、加点対象を加味した事業計画を考えることです。IT導入補助金は、一定の条件を満たした場合加点の対象となり、交付が受けやすくなるシステムがあります。
例えば、A類型・B類型では「地域未来牽引企業で、目標を経済産業省に提出している」「クラウドを利用する」などが加点の対象です。デジタル化基盤導入枠の場合もほぼ同じですが、対象によって少し違いがあるため、下記URLからそれぞれの公募要項を参照してください。

▼IT導入補助金 申請・手続きフロー
https://www.it-hojo.jp/procedure/

IT導入補助金以外のIT化に便利な制度

医療法人がITツールを導入する場合、利用できるのはIT導入補助金だけではありません。ほかにも医療分野のIT化を支援する制度があります。
例えば「医療情報化支援基金」では、オンライン資格確認(顔認証カードリーダによる保険資格の確認)の導入に向けた医療機関・薬局のシステム整備のサポートを行っています。申請はポータルサイト(https://www.iryohokenjyoho-portalsite.jp/5.html)か、郵送で可能です。

▼顔認証カードリーダ補助金の補助率と上限額

施設 申請台数 補助率 限度額
病院 1台 1/2 105 万円
病院 2台 1/2 100.1万円
病院 3台 1/2 95.1万円
大型チェーン薬局 1/2 21.4万円
診療所または大型チェーン薬局以外の薬局 3/4 32.1万円

交付金額は「補助金対象にかかわる総事業費と補助率をかけた金額」「補助限度額」のどちらか少ない方となります。
申請には領収書と領収書内訳書の写し、オンライン資格確認等事業完了報告書が必要です。

JBCCのクラウドカルテ「blanc」

JBCCのクラウドカルテ「blanc」は、「いつでも・どこでも・だれでも」をコンセプトにした電子カルテです。JBCCはIT導入支援事業者であり、医療分野でのIT導入実績もございます。

もちろん無床クリニック向けのblancもIT導入補助金で利用可能なツールであり、加えてIT導入補助金の加点対象となるクラウドサービスです。 訪問診療・看護・介護などの遠隔でも操作ができ、セキュリティやBCP対策にも適しています。

医療法人久居病院では、blancをご利用いただいております。もともと煩雑な作業を削減するために電子カルテシステム「Psyche」を導入していただいておりましたが、保守満了にともなってblancに移行。クラウドを利用することで、工数はもちろん、システムの負荷が大幅に削減されたとのお声をいただいております。また、セキュリティを強化したことに加え、データの拠点が複数あることで、災害やサイバー攻撃にも対応可能です。

▼クラウドカルテ「blanc」
https://www.jbcc.co.jp/lp/blanc/

まとめ

IT導入補助金は、標準化や効率化が叫ばれる医療業界をサポートしてくれます。人手不足やデジタル化に悩んでいる医療法人は、ぜひJBCCにご相談ください。

企業のIT活用をトータルサービスで全国各地よりサポートします。

JBCC株式会社は、クラウド・セキュリティ・超高速開発を中心に、システムの設計から構築・運用までを一貫して手掛けるITサービス企業です。DXを最速で実現させ、変革を支援するために、技術と熱い想いで、お客様と共に挑みます。