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JBCCグループ kintone×楽楽精算で経理財務部門DX化事例|約2,000人分の「紙で精算」を一掃し、完全リモートワークを実現

公開日 : 2023年08月07日
更新日 : 2024年03月29日

コロナ禍で突然始まったリモートワークに、2023年10月1日から始まるインボイス制度、そして2024年1月1日から始まる改正電子帳簿保存法(電帳法)ーー。経理財務ほど、職場環境の変化や、法改正の荒波に影響される部門はないかもしれません。

JBCCグループの経理財務部門は、約2,000人もの社員の精算業務を「楽楽精算」と「kintone(キントーン)」を活用して一気にペーパーレス化&完全リモートワーク化に成功しました。ツール導入直後の大混乱と社内からの問い合わせの嵐をチーム一丸となって乗り越え、2022年の社員満足度は昨対比10ポイントアップという快挙を達成。来る法改正を迎え撃つ準備を進めている経理財務部門メンバーに話しを聞きました。

JBCCグループ kintone×楽楽清算で経理財務部門DX化事例|約2,000人分の「紙で精算」を一掃し、完全リモートワークを実現
JBCCグループ C&Cビジネスサービス株式会社
経理財務部門メンバー

目次

  1. 監査法人からの鋭い指摘でペーパーレス化が窮地に...
  2. 他社訪問でヒントを得て「目からウロコ」の挽回策
  3. kintoneを活用して決算・支払い処理システムを構築
  4. 緊急事態宣言に背中を押される形で「楽楽精算」に切り替え
  5. 予想を超える大混乱!社内精算への社員満足度が急降下
  6. さらなる効率化を目指し、社内連絡をkintoneに一元化
  7. 18人全員でPDCAを回した1年で社員満足度が急上昇!
  8. 100%リモートワークも可能な中で「つながる」オフィスができた意味
  9. JBCCグループ経理担当と語る「経理財務DXワークショップ」

1.監査法人からの鋭い指摘でペーパーレス化が窮地に...

JBCCグループの経理財務部門DX化のきっかけは大きく分けて3つありました。

  • 電帳法改正への対応
  • コロナ禍による出社停止
  • オフィス移転プロジェクト

2024年元旦から運用開始予定の改正電帳法によって、これまで紙とハンコで対応していた領収書・請求書・注文書から、仕訳帳、総勘定元帳まで、すべての帳票をシステム上に電子データとして保管することになります。そのため数年前から、部長の平英樹さん率いる経理財務部門では、クラウド経費精算システム​​導入の検討を進めていました。導入前の様子を、メンバーの斉藤将太さんはこう振り返ります。

斉藤:「私が担当する経理や法人税の申告などの決算にまつわる業務は以前、すべて紙ベースでした。書類を印刷し、部長に捺印してもらい、ファイリングして処理完了。四半期ごとの決算業務はそうして毎回神経をすり減らしながらやってきたので、その元となる精算業務を全部ペーパーレス化するのは並大抵のことではないな、と思っていました。」

ツールを比較検討した結果、グループ全体で約2,000人ものアカウントの精算業務を管理するには、コスト面で「楽楽精算」がベストという結論に至りました。しかし導入準備を始めてすぐ、経理財務部門は壁にぶつかることに...。監査法人に提示した電子化後の会計フローが、ダメ出しを受けてしまったのです。

グループ子会社の決算処理を担当する斉藤将太さん

グループ子会社の決算処理を担当する斉藤将太さん

2. 他社訪問でヒントを得て「目からウロコ」の挽回策

監査法人とのやり取りを担当していた高山直久さんは、頭を抱えたといいます。

入社5年目、主に連結決算を担当している高山直久さん
入社5年目、主に連結決算を担当している高山直久さん

高山:「監査法人からは『その仕組みだともし電子化された証憑に誤りがあった場合、該当書類だけでなく、他の証憑の紙原本を提出依頼することになりますのでハイリスクです』とだけで、改善方法は教えてもらえませんでした。そんな時オフィス移転プロジェクトの視察で、斉藤と一緒に、ペーパーレス化をすでに達成していた他社さんを訪問する機会がありました。

経理の方に監査法人からの指摘内容を相談すると、大きなヒントをいただけたのです。要は領収書などの帳票がきちんと保管されているかの『内部統制』が課題だったんだと目からウロコが落ち、さっそく部長に報告しました。」

平:「これまでの社内精算では領収書の現物を提出していましたが、電子化以降は写真データになります。以前使った領収書をもう一度写真に撮って、データを使い回す不正をどう防ぐかが鍵とのことでした。そこで、同じ日付、同じ金額、同じ申請者の申請を弾くことができるよう、2カ月ごとのチェック体制を整えて監査法人に再度申請し、承認を得ることができました。」

3. kintoneを活用して決算・支払い処理システムを構築

この承認が下りたことで、JBCCグループの電子化は一気に加速します。まず斉藤さんがすでに社内で活用されていたkintoneを使って、決算・支払い処理のシステムを作り上げました。しかし、ITに詳しくない経理財務担当者が、たった一人でアプリを構築できるものでしょうか?

斉藤:「はい、できます。kintoneの使い方はGoogle検索で大量に見つかりますし、提供元であるサイボウズさんのサイトからも簡単なマニュアルがダウンロードできます。弊社はkintoneの代理店でもあるので、社内の詳しい社員に細かな設定を質問したこともありましたが、基本的にそれほど難しいとは感じませんでした。」

高山:「斉藤の作ってくれた決算・支払い処理システムで、その案件をいつ、どの上長が承認したのか、ログが残ります。導入後はどんどん『出社して捺印』という作業が減り、各子会社のキャッシュの状況をチェックする資金繰りの資料を作るような時も、場所を選ばない働き方が可能になってきました。」

kintoneを活用して決算・支払い処理システムを構築
斉藤さんがkintoneの基本機能で構築した承認申請・決済システム

4. 緊急事態宣言に背中を押される形で「楽楽精算」に切り替え

さらに急速なペーパーレス化を推し進めたのが、コロナで緊急事態宣言が発令されたことでした。

18名の経理財務部署を束ねる部長の平英樹さん
18名の経理財務部署を束ねる部長の平英樹さん

平:「グループ全体に出社禁止令が出たので、一気に背中を押された形で、DXを急ぎました。コロナが始まる前から業務DXに力を入れてきた準備があった上で、いよいよ全社的に『楽楽精算』に切り替えることにしたのです。」

導入前に経理財務部門でテストを行い、問題点はほぼない状態にまで準備をしてきたはずでした。全社員に数回にわたって説明会を実施し、参加できなかった社員には録画配信もしました。ところがいざ導入の日を迎えると、予想以上の大混乱!部署は問い合わせ対応に忙殺されることになったのです。原因は何だったのでしょう?

高山:「以前使っていた経費精算システムは弊社仕様にカスタマイズされていて、入力の手間が省けた項目が多かったんですよね。楽楽精算を導入したら、入力項目が一気に増えたように感じて混乱してしまったケースが多く見られました。また出張の日当計算など、弊社独自ルールの精算方法を楽楽精算でどう入力すればいいかわからないという質問も多かったです。」

5. 予想を超える大混乱!社内精算への社員満足度が急降下

平:「実は導入前から、部署の全メンバーをチームに振り分け、問い合わせ対応に備えていました。たとえば

  • 一つ一つ投げられた課題を解消していくタスクチーム
  • 問い合わせ内容の傾向を精査してマニュアルを作るチーム
  • 回答を掲示板に書き入れ、周知するチーム

などです。
楽楽精算の仕組みやFAQを全社員に周知するために始めた掲示板。 「ニャンダマン」というオリジナルキャラクターも経理財務部門のメンバー作

楽楽精算の仕組みやFAQを全社員に周知するために始めた掲示板。
「ニャンダマン」というオリジナルキャラクターも経理財務部門のメンバー作

しかし実際は、私たちが想定できていなかった疑問点が社員から相次ぎ、回答に時間を要しました。その結果、2021年社員満足度調査では、社内精算に関する満足度が目に見えて下がってしまったのです...。『これはまずい。経理財務の存在価値がなくなってしまう』という危機感が募りました。すぐ社員満足度を回復させる専門組織「満足度グループ」を立ち上げて、原因を分析することにしたのです。さらに社員の問い合わせはすべてkintoneに集約してもらい、「プロセス管理」の機能を活用して応対品質を上げるフローを構築しました。


問い合わせ窓口に寄せられた意見を、誰がいつどう返したかをkintoneで共有問い合わせ窓口に寄せられた意見を、誰がいつどう返したかをkintoneで共有

このシステム上で

  • 「どこの子会社の誰からどんな質問を受けたのか」
  • 「問い合わせから何分以内に誰がどう回答したか」
  • 「よくある間違いをどう集積し、周知につなげたか」

が共有・可視化された結果、応対品質や回答スピードは改善していきました。それを元に『掲示板の上下にもチャット機能をつける』『その季節にありがちな精算業務の手順を、先回りして掲示板で告知しておく』など、次の一手がどんどん生まれる好循環が生まれたのです。」

掲示板では毎月、その時期に発生しがちな精算業務のミス回避術なども配信

掲示板では毎月、その時期に発生しがちな精算業務のミス回避術なども配信


6. さらなる効率化を目指し、社内連絡をkintoneに一元化

部署が試行錯誤を繰り返していた頃、経理財務部門に新メンバーとして入社したのが井上直子さんでした。最初に任されたのが楽楽精算の承認業務と問い合わせ対応。そして電帳法に基づき2カ月ごとに提出が求められる、サンプル抽出の依頼を各部署にかける業務でした。必要な領収書精算データのサンプルは週に20件ほど。対象部署をランダムで選んで、期限を伝え、提出を促す業務です。

井上:「最初はExcelとメールを使って依頼業務を管理してたのですが、入力に工数がかかる上、メールの宛名を間違えてしまうこともあったんです。そこで、こちらもkintoneのプロセス管理+連携サービスの「kMailer(ケーメーラー)」を使って一元管理するフローを構築したところ、手間やミスが減りました」

2022年5月に入社した井上直子さん

領収書精算データのサンプル提出依頼もkintone上で完結できるようになった

領収書精算データのサンプル提出依頼もkintone上で完結できるようになった

7. 18人全員でPDCAを回した1年で社員満足度が急上昇!

こうして18人全員で努力を続けた1年後、うれしい知らせが舞い込みました。2022年の社員満足度調査で、昨年比10ポイント以上の改善が見られたのです。

問い合わせ対応・品質ともに1年で10ポイント以上の改善

問い合わせ対応・品質ともに1年で10ポイント以上の改善

平:「気軽に聞いてもらえる体制づくりが要因の一つだったと思います。やっぱり経理財務と聞いただけで、皆さん問い合わせしづらいと思うんですよ、専門的な話だから。私たちにできることは、いろいろな場所にチャットなどの窓口を作って、『いつでも聞いてください』という姿勢を見せること。そして掲示板で誰でも情報を共有できるように公開することでした。

まだ完全にペーパーレス化は終わっていませんし、今後はインボイス制度導入も控えています。法令や社会が変わる前に、先回りして、これからも改善施策を打ち続ける必要があります。」

8. 100%リモートワークも可能な中で「つながる」オフィスができた意味

経理財務部門の奮闘もあって、全社的に100%リモートワークが定着した2023年2月、JBCCグループは新しいオフィスへと移転しました。蒲田、神田、新宿にあった3拠点を、東京駅からほど近い八重洲の本社1カ所に統合したのです。首都圏の社員1,200人に対し、本社にはフリーアドレスの席が400人分のみ。社内イベントや会議もオンライン化したので、このキャパでまったく問題ありません。また、以前の定時は8時45分〜17時30分でしたが、現在は月の勤務時間の範囲で自分の働く日・時間を決められる自由裁量制へと変わりました。

それぞれ神奈川県の海沿いの街で暮らす井上さんや斉藤さんも、完全リモートワークが気に入っているといいます。

100%リモートワークも可能な中で「つながる」オフィスができた意味

井上:「子どもが小2、3歳とまだ小さいので、通勤時間を削減できた分、家事育児にあてられる働き方は本当にありがたいですね。子どもが保育園や学童に預けられない日があっても、家で見ながら働けるため、収入ダウンにもなりません。」

斉藤:「自宅の2階から海を眺めつつ働いています。本社までは大体2時間くらいかかるので、たまにある出社時は小旅行気分です。(笑)」

平さんにリモートワークの効果を聞くと、「繁忙期と閑散期でバランスを取りながら体調管理ができ、家族の予定に対応しやすくなったこと」「通勤費が大幅コスト削減になったこと」の2点とのこと。一方で高山さんは、「孤独を感じることもあった」と打ち明けてくれました。

高山:「年度末決算で忙しい中で監査法人からの鋭い問い合わせが来たりした時、目の前に頼れる人や質問できる仲間がいないと、なんだか自分一人で乗り越えなきゃいけないような錯覚に陥ることがあったんです。でも、いざオフィスへ来ると、仲間と話してその不安が和らいだり、だれかが頑張ってる姿を見るだけで励まされたりといった効果を感じました。新しいオフィスもできたので、出社の良さとテレワークの良さを今後はもっと使い分けて行けたらと思います。」

八重洲の新オフィスは「仲間とつながり、パートナーとつながり、お客様とつながり、未来へとつながる」というコンセプト通り、開放的な空間です。2,000人のハブとなる経理財務部門の挑戦は、ここを一つの拠点にしながら、今後も続いていくことでしょう。

「つなぐ」がテーマのオフィス。会議室も壁で仕切らない開放的な空間

「つなぐ」がテーマのオフィス。会議室も壁で仕切らない開放的な空間

9. JBCCグループ経理担当と語る「経理財務DXワークショップ」

コロナ禍により急速にDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が高まっている中、経理財務部門においては具体的な進め方に悩まれているお客様は非常に多いのではないでしょうか?

そこでJBCCでは、JBCCグループの「経理財務担当者」より、弊社で実践しているDXのご紹介やディスカッションができる「ワークショップ」を開催しています。貴社DXを進める上でのヒントを掴んでいただければと思います。

経理財務DXワークショップ

JBCCグループ経理担当と語る!経理財務DXワークショップはこちら

急速にDXの必要性が高まっている中、経理財務部門においては具体的な進め方に悩まれているお客様は非常に多いのではないでしょうか?そこでJBCCの「経理財務担当者」より、弊社で実践しているDXのご紹介やディスカッションができる「ワークショップ」を開催します。

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JBCC株式会社ロゴ

JBCC株式会社

JBCC株式会社は、企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を支援するITサービス企業です。クラウドサービスを中心にシステムの設計から構築、運用までを一貫して手掛けており、クラウド 2,150社、超高速開発による基幹システム構築 460社、セキュリティ 1,100社の実績があります。
お客様の環境に合わせた最適なITシステムを、クラウド、超高速開発、セキュリティ、データ連携等を活用し、企業のDX実現と経営変革に貢献します。

kintoneで業務DXワークショップ
kintoneで業務DXワークショップ

kintoneで業務DXワークショップ

業務のデジタル化を推進してお客様の業務効率化や理想の働き方を実現するために、現在業務を棚卸し、その中から課題となるものを抽出した上で適用範囲を見つけていただき、kintone利活用をより推進していただくワークショップです。

業務全般DXワークショップ
業務全般DXワークショップ

業務全般DXワークショップ

業務全般DXワークショップでは、お客様の現状把握と課題を確認し、次にどのステップへ進めばよいかをご支援いたします。

コラム
JBCCグループ 新しい働き方への挑戦ーリアルコミュニケーションでイノベーションを加速

JBCCグループ 新しい働き方への挑戦ーリアルコミュニケーションでイノベーションを加速

JBCCグループは、従業員の働き方のさらなる変革を目指し、首都圏オフィスを統合し、2023年2月より東京・八重洲(東京ミッドタウン八重洲)へ本社を移転しました。新しい働き方のコンセプトは"つなぐ"。仲間と「つながり」、お客さまと「つながり」、未来へと「つなぐ」。 ただオフィスが変わるだけではない、新しい働き方を実現するために、グループ各社よりタスクチームやアンバサダーを募り、どのようにこれからのビジネス価値向上につなげていくのか、メンバー同士で考えてきました。当コラムでは、JBCCグループが考えた新オフィスでの「新しい働き方」をご紹介します。