kintoneの活用事例4選|kintone活用のメリットとポイントとは

- kintoneを全社展開する際に直面しやすい課題とその対策
- 実際の企業によるkintone活用事例と得られた効果
- kintone活用を成功させるためのガバナンス構築と運用ルールの考え方
kintoneを全社的に活用することは、DXの推進に向けた大きな第一歩となります。kintoneを導入するにあたって、どういった課題やメリットがあるのかを理解した上で、実際の活用事例を知ることで自社での導入・活用をイメージしやすくなるでしょう。
本記事では、kintone導入のメリットや活用のためのポイント、実際にkintoneを活用している企業の事例をご紹介します。
kintoneの導入を検討しているが自社での活用イメージが湧きにくい、実際にどのようなメリットや効果に期待できるのか知りたいという方は、参考にしてみてください。
kintoneを全社で活用する際に起こりうる問題
kintoneは単一部門・単一業務で利用されることが多いツールです。利活用が進むと複数部門・複数業務での利用が進んでいき、おのずと全社に展開されていくことが多いでしょう。
しかし、全社展開されていくタイミングで、以下のようなさまざまな問題が起こりやすくなります。
- 部門や業務ごとの利用状況が把握しにくくなる
- 利用ルールをどの程度まで整備すべきか判断が難しい
- 現場で作成された独自アプリの管理が煩雑になる
こうした問題が起こらないようにするためには、管理運用体制を整えることが必要です。
kintoneを全社展開するメリット
kintoneを全社的に展開していくには、それなりの体制整備が求められるため、どうしても労力がかかります。
しかし、その分得られるメリットも非常に大きく、導入効果を最大化するには全社活用が有効です。ここでは、全社展開によって得られる代表的なメリットをご紹介します。
データの活用が進む
kintoneを全社で展開することで、紙やExcelなどで実施していたアナログ業務がデータ化されやすくなります。それによって、情報が蓄積しやすくなり、情報の分析・活用がしやすくなります。
例えば、営業部門では見積もり作成のプロセスが効率化され、顧客情報の管理も柔軟に行えるようになるかもしれません。
また、システムが標準化されることでセキュリティ基準を一定にできると同時に、他システムと連携しやすくなるのもメリットです。システム連携によりデータ活用が進むと業務効率化だけでなく、コア業務へのリソース投下によりイノベーションの創出にもつながります。
生産性が向上する
kintoneはノーコードでアプリを構築できるため、「現場で感じた課題」を自分たちの手で解決できる環境が整います。
そのため、これまで効率化できなかった業務も自分たちで積極的に改善していけるようになることで、現場主導でのDXが進みやすくなるでしょう。
例えば、紙やExcelで提出していた日報をkintoneでアプリ化すれば、外出先などからでも日報を提出できます。
各部門が自主的に業務改善に取り組むようになると、結果的に組織全体の生産性向上にもつながります。
また、情報が一元管理できることで情報共有が効率化され、業務や現場の見える化も促進されるでしょう。
コストを削減できる
kintoneという1つのプラットフォームで汎用的な業務は網羅的にカバーできるようになります。複数のツール・システムを導入する必要がなく、結果としてコスト削減に有効です。コストを削減しながら生産性を高められるため、費用対効果の向上にもつながります。
ツールのプランの管理やアクセス権の管理といった管理業務も集約できるため、コストだけでなく運用負荷も軽減できるでしょう。
kintoneを最大限活用する上で考慮すべきポイント

kintoneの活用が拡大されていくフェーズとして、「より多くの業務で使いたい(領域拡大)」「もっと他の部門にも広げたい(利用展開」の主に2つがあります。kintoneを全社展開し、かつ社内のさまざまな業務で活用するには考慮すべきポイントがあるため、詳しくみていきましょう。
kintoneの利用領域を拡大する上で考慮すべきポイント
kintoneの利用領域を拡大する上では、以下2つのポイントに考慮する必要があります。
- データ漏洩
- 不正確な処理
kintoneでは個人情報や取引先情報など、機密性の高い情報を扱うこともあるでしょう。重要な情報にはアクセス権の設定や、情報を正しく処理するスキルや知識が求められます。
また、kintoneの利用領域を拡大する上では、以下のような管理運用体制を整えることも求められます。
- リスクに応じた権限、チェック体制
- アプリの新規作成/変更時の第三者確認
- データガバナンスに関連する対策
kintoneの利用を展開していく上で考慮すべきポイント
kintoneを全社利用することは、業務改善や生産性の向上、コスト削減などさまざまなメリットがあります。このメリットを享受しつつ、全社利用を進めていく中では、以下2つのポイントへの考慮が必要です。
- 野良アプリの管理
- スキル不足によるミス
課題やニーズにあわせて、自分たちで柔軟にアプリを作成できるのはkintoneのメリットです。しかし、全社利用が進んでいくとそれだけアプリ作成者も多様化し、管理が煩雑になったり、意図しないアプリが作成されたりするおそれがあります。
また、ITスキルやkintoneへの理解が十分でない人がアプリを作成してしまうことで、意図された通りに動作しなかったり、間違ったデータを計算・処理してしまったりするアプリが作成される可能性も考えられます。
野放しでただアプリを増やしていくのではなく、以下のような体制・対策を整えた上で全社展開していくことが必要です。
- 全社的な管理体制
- 全社的な教育活動、段階的な教育制度設計と作成許可
- アプリ一覧管理、モニタリングの高度化
kintoneの活用を進めるためのガバナンス構築の流れ

kintoneを全社展開し活用を進めるには、全社的な管理運用体制とkintoneガバナンス、いわゆるルールが必要です。そうでなければ、アプリが乱立し全体での業務効率化や部門間連携など全社のDXを進めにくくなるからです。現場主導での柔軟な活用が可能なkintoneだからこそ、最低限のルールづくりや管理体制の明確化が、継続的な利活用を支える重要な土台となります。
kintoneの開発・販売元であるサイボウズからは、公式にkintoneガバナンスガイドラインが提供されています。
kintoneガバナンスでは、以下4つのポイントを提示しています。
- ①方針の検討
-
・kintoneの機能や特性の把握
・kintoneの役割や利用戦略の検討
・kintoneガバナンスの方針策定(kintoneで利用可能な情報、業務領域、業務プロセスの定義)
- ②ルールの策定
-
・ガバナンス検討体制の整備
・アプリリスクの定義
・ルール策定
- ③ルールの運用・モニタリング
④ルールの改善 -
・ルールの運用
・モニタリング(ルール遵守状況のチェック)
・ルールの改善
また、kintone活用のルールを策定する上での重要ポイントとして、以下についても提示しています。
- kintoneに載せていい情報の定義
- セキュリティ設定の階層
- 策定したルールに則って運営していくための管理者の策定
kintoneの運用ルールの考え方
kintoneの全社利用を進める上では、ガバナンス構築とあわせて、アプリの作成権限に関する運用ルールの策定も重要です。
多くの企業で課題になるのが、現場に自由にアプリを作らせるか、管理部門に権限を集中させるかという点です。
現場に自由に任せてしまうと、野良アプリが増え続けて管理が煩雑になるおそれがあります。作成ルールを厳しく設けてアプリを自由に作らせない」という制御も可能ですが、それではkintoneの良さが失われてしまうだけでなく、現場にkintoneが浸透しない原因にもなりかねません。
kintoneの運用ルールの考え方は、統制も程度によって主に下記2パターンがあります。
運用ルールの考え方 | メリット | デメリット |
---|---|---|
アプリ作成権限を利用部門に付与 |
・業務改善のスピードが早い ・スピーディーに業務をシステム化できる |
・アプリが乱立するリスクがある ・ルールを徹底しにくい |
アプリ作成権限を管理部門に付与 |
・必要なアプリのみを運用できる ・ルールを徹底できる |
・業務改善のスピードが遅い ・管理部門の負担が大きい |
kintoneの活用を進めるためのガバナンス構築・運用ルールの考え方のポイントについて、詳しくは↓こちら↓で紹介しています。
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kintoneの活用事例4選!kintoneの全社活用の効果
ここでは、kintoneの全社導入を目指し、活用を進めている事例をご紹介します。
活用事例1:顧客情報の有無でアプリ作成の権限を使い分け
ある宿泊業様ではkintone導入後、顧客情報の有無によってアプリの権限を設定して活用。顧客情報がある場合には権限を一部のユーザに限定し、アプリ作成はkintone推進組織である情報システムに限定しています。
一方、顧客情報がない場合は幅広い社員にアプリ作成の権限を付与し、柔軟な運用を可能にしました。明確なルールを策定していることで、社員もアプリ作成の判断がしやすく、利用を推進しやすい環境となっている事例です。
活用事例2:kintone全社導入による業務効率化の達成
古いシステムで対応できない部分を紙やエクセルで補っていたこちらの会社様では、紙・エクセルからの脱却のため、kintoneを全社で導入しました。
kintone導入の背景には、原価高騰などにより業績見込みが悪化したこともあり、現場での業務変革と業務効率化が急務になったことも関係しています。
結果、導入立ち上げから半年で200アプリを作成し、業務効率化時間は約1,000時間を達成。全社利用の紙申請業務の廃止や同一業務アプリの水平展開による開発コストの抑制、全社教育によるDX人材に向けた社内意識改革といった定性効果も発揮しています。
今後はさらなる現場改善と業務変革を目指しつつ、DX推進やコア人材創出の目標達成、グループ会社へのDXの横展開へと取り組んでいます。
導入事例3:kintone導入で業務をデジタル化
artience株式会社様は、早期からDX推進を目指すも、決定打となる施策がない状況にありました。そうした状況下でコロナ禍に突入し、紙業務に課題を感じ始めていました。
そこで、紙業務からの脱却とDX推進人材の発掘・育成に向けて、kintoneを段階的に導入。結果的に、グループ全体での利用を促進していきました。定量効果として、導入立ち上げから半年で約4,000件の申請をデジタル化。さらに、業務時間を100時間短縮、紙コストの削減といった効果も得られています。
また、基幹システム刷新を含む他システムとの並行移行によって、費用対効果の最大化も実現できました。
導入事例4:紙業務の廃止に向けたkintone導入
ライフカード株式会社様は、大量の紙業務による申込書の二重登録や誤送信のリスクの軽減を目的に、kintoneの活用をスモールスタートしていきました。
導入後は、店頭受付分の年間約6万件の審査時間を約半分にし、年間約2,100時間の業務時間の削減につながりました。また、ペーパーレス化によりヒューマンエラーの削減も実現。一部業務の課題解決を目的に導入されたkintoneを起点に、社内部署間でもペーパーレス化を実現しています。
現在は、全社的な紙業務の廃止と、DX人材の創出を目指して、kintoneの全社導入を進めている段階にあります。
kintoneの活用はJBCCにお任せください
JBCCは、kintoneの導入から運用まで一貫した支援を提供しています。kintone開発元であるサイボウズの公認パートナーとして、多くの企業様のkintoneの導入・活用を支援してきた実績を持っているのが強みです。
そんなJBCCでは、各検討フェーズにおけるkintoneの利用方法を提案しています。最終的には全社導入を目指し、kintoneの利用部門の拡大にあわせて業務・利用範囲の拡大をサポート。kintoneの活用に向けた人材育成やコア人材の創出に向けて、ハンズオンや業務ワークショップ、事例発信・社内展開といった、活用の促進にも取り組んでいます。
さらに、kintoneへの理解を深め、kintoneを活用して社員が課題を解決していくための意識改革も支援しています。kintoneの全社導入に向けたガバナンス策定の面もしっかりとサポートし、kintoneの活用促進と浸透にワンストップで伴走しています。
よくある質問
- Q1. kintoneはどのような業務に向いていますか?
- A. 顧客管理、申請業務、日報管理、業務改善など、部門横断的な業務に幅広く対応できます。
ノーコードでアプリを作成できるため、現場主導の業務改善にも最適です。
- Q2. 全社展開する際に注意すべきポイントは?
- A. 野良アプリの管理やスキル不足による設定ミスが起こりやすいため、ガバナンスの整備や教育体制の構築が重要です。運用ルールの明確化も欠かせません。
- Q3. kintone導入後のサポートはありますか?
- A. JBCCでは導入から運用、活用促進まで一貫した支援を提供しています。
ワークショップや事例共有、ガバナンス策定支援など、企業の状況に応じたサポートが可能です。
まとめ
kintoneを全社で展開することは、社内でのデータ利活用の促進や生産性の向上、コスト削減など、さまざまな効果が期待できます。一方で、全社展開していく上では、アプリ管理が煩雑になったり、利用ルールが統一できなかったりと、問題も起こりやすくなります。
そこで、kintoneの活用を社内で拡大するにあたっては、全社的なkintoneの管理運用体制と統一ルールである「ガバナンス」の策定が必要です。管理運用体制やルールの内容は、企業がどうkintoneを活用したいかによってさまざまであるため、個別に構築することがポイントです。
JBCCでは管理運用体制やルールの構築もふまえ、kintoneの導入から運用まで一貫した支援を提供しています。さらに、活用に向けたワークショップや事例の発信といった、活用の促進にも対応可能です。
kintoneを全社的に展開していきたい、あるいはスモールスタートから始めたいと検討している場合は、ぜひお気軽にJBCCにお問い合わせください。
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