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医療法人静心会 桶狭間病院 藤田こころケアセンター 様

精神科医療のパイオニア 藤田こころケアセンターが挑むDX 改革 ―セキュリティと利便性の両立を実現―

精神科医療のパイオニア 藤田こころケアセンターが挑むDX 改革 ―セキュリティと利便性の両立を実現― 左から医事課 課長 橋本 理氏、理事長 藤田 潔氏、 管理部 部長 山田 晃氏、管理部 石黒 千喜氏

1958 年に開院した医療法人静心会が運営する「桶狭間病院 藤田こころケアセンター」は、精神科に注力し、希少な症例の治療にも挑戦。患者の改善を目指した多様なアプローチを実施するとともに、サテライトクリニックの展開によりプライマリケアと退院後のフォローにも力を入れている。

施設名 医療法人静心会 桶狭間病院 藤田こころケアセンター 様
設立 1958年
所在地 愛知県豊明市栄町南舘3-879
診療科 精神科、内科、歯科
URL https://www.seishinkai-kokoro.jp/
導入前の課題
  • 電子カルテと地域連携ネットワークの分断による業務の非効率
  • システム運用・保守における人的負担の増大
  • 災害発生時における医療データ喪失のリスク
  • DX 推進に必要な人的リソースの不足
導入後の効果
  • 電子カルテ端末から安全にインターネットに接続できる環境の実現による業務効率化
  • 次世代ファイアウォールによる強固なセキュリティ基盤の確立
  • クラウド活用による運用負荷の大幅軽減
  • 地理分散バックアップによる災害対策と高可用性の実現
  • 包括的なDX 推進体制の構築
この記事の目次

【導入の経緯】

65 年の歴史を持つ精神科医療の拠点

愛知県内の精神科医療を牽引する「桶狭間病院 藤田こころケアセンター」は、包括的なデジタルトランスフォーメーション(DX)による医療革新を進めている。1958 年の医療法人静心会による開院以来、患者一人ひとりに寄り添った医療を提供してきた同院は、電子カルテの早期導入やサテライトクリニックとの連携など、先進的な取り組みを重ねてきた。

その代表的な取り組みの1つが、検査や治療の予定とタイムスケジュールを示した治療計画書「クリニカルパス」だ。同院がクリニカルパスを導入したことをきっかけに、他の精神科医療機関にも広がっていった。電子カルテも、いち早く導入している。「電子カルテを使うことで、治療や投薬などのデータを蓄積できるほか、これまで手間がかかっていたサテライトクリニックとの診療データが容易に共有できるようになりました。診療室からカルテの内容を参照できるため、医療従事者は医療行為に集中できるようになりました」と医療法人静心会・理事長の藤田 潔氏は語る。

しかし、院内ネットワークの分断やセキュリティ上の懸念から、さらなるDX 推進には慎重にならざるを得ない状況が続いていた。医療機関では患者の個人情報を含む電子カルテシステムはインターネットから分離したネットワークで運用することが一般的であり、同院でも電子カルテとインターネットは別々の端末で利用していた。そのため、他の医療機関や行政など外部との連携が重要な地域連携業務においては、業務効率の低下や情報共有の遅延が課題となっていた。また、オンプレミス環境での電子カルテ運用は、運用・保守の負担が大きく、災害時の事業継続性への不安も拭えなかった。医療情報の機微性から、クラウド活用には万全なセキュリティ確保が不可欠であり、デジタル技術による業務効率化への期待はあったものの、これらの課題が導入の障壁となっていたのだ。

【導入のポイント】

JBCCとの協働で包括的な解決策を実現

そこで同院は、医療システムの構築やクラウド移行に豊富な実績を持つJBCCに相談を持ちかけた。JBCCは電子カルテのクラウド移行にとどまらない、院内ネットワーク全体の見直しとセキュリティソリューションの導入を通じた包括的なDX 支援を提案。パブリッククラウドを活用し、西日本と東日本の両リージョンにシステムを分散配置することで、災害時でも医療データが失われにくい高可用性を確保した。さらに、最新のファイアウォールとログ管理体制を整備し、サイバー攻撃のリスクを最小限に抑える設計を実現している。

今回の取り組みで特筆すべきは、「電子カルテ端末」と「インターネット接続端末」を統合しながらも、強固なセキュリティを維持している点だ。従来は電子カルテと一般業務を分けるために複数の端末を使い分けていたが、クラウド上で電子カルテが稼働する環境を整備。
次世代ファイアウォールによるアプリケーション制御と不審通信のブロック、次世代エンドポイントによるセキュリティ強化により、医療従事者は1 台の端末から安全かつ円滑に業務を遂行できるようになった。

ネットワークの統合とセキュリティ強化により、クラウドサービスの活用範囲も広がっている。これまでは過去の法規制に沿って「医療情報の取り扱いにはオンプレミスが必須」という認識が強かったものの、クラウド環境でも法規制やセキュリティ要件(医療情報の安全管理に関するガイドライン)を満たすシステム運用が可能であることが実証された。電子カルテと連動するデータをリアルタイムに分析し、入院長期化の要因を早期に発見して患者の再発リスクを低減するサポート体制の強化も進行中だ。

システム・ネットワーク概要図

現場での具体的な改善効果

これにより、最も大きな変化を実感しているのは現場のスタッフたちである。まず、電子カルテシステムへのアクセスが早くなっていることを実感した。パブリッククラウドであれば、リソースが足りなくなっても必要なリソースを割り当てることができるため、今後もリソース不足の心配なく利用できる。また、セキュリティ対策の強化により、訪問診療先など遠隔からの安全な患者データ参照も可能となっている。

また、今回のシステム更新に合わせて導入した資産管理ツールにより、機器管理とアクセス制御が簡素化され、IT 管理部門の負担も大きく軽減された。離れた拠点の端末のメンテナンスや職員への操作サポート、監査で必要な機器台帳の整備などの場面でも活用している。集中管理が可能となったことで問題の切り分けと対応が迅速化。
JBCCによる保守サポートとセキュリティ監査により、院内では医療業務に専念できる環境が整備された。

医療DX を支えるパートナー

今後、同院では、蓄積された診療データや検査結果を分析し、ケースワーカーによる支援計画の立案や産業医の相談にも活用する取り組みを進める方針だ。また、スマートォンの活用により、さらなる現場の利便性を図ることも検討している。

JBCCは「業務改善相談会」を開催し、医療DX を進める病院を支援している。医療機関を取り巻く課題の複雑化に対し、JBCCの継続的な伴走支援により、「使いこなせないシステム」を生まない体制を徹底。現場の声を反映しながら段階的に施策を展開し、病院全体のDX 成功に向けたステップを着実に進めている。

医療関係者からは「クラウド移行はあくまで最初の一歩に過ぎない」という共通認識が示されている。セキュリティを強固にしたうえで、業務に適したクラウドサービスを柔軟に組み合わせることで、院内のデジタル化は加速している。精神科医療では患者の機微な情報を扱うため、厳密な安全対策が不可欠だが、今回の導入で多くの課題が克服された。患者と医療従事者を結ぶネットワーク基盤を刷新し、データ分析の新たな可能性を追求する同院の取り組みは、病院DXの先進事例として注目を集めている。

【今後の展望】

幅広い分野でDX の可能性を視野に

電子カルテのクラウド化、院内ネットワークの統合、そしてセキュリティ強化による相乗効果は大きい。スタッフの負担軽減や治療の質向上だけでなく、新たなデジタル技術への挑戦を後押しし、医療機関の社会的役割を拡張する原動力となっている。単なるシステム移行にとどまらない、病院全体のDX を支援するJBCCの伴走があってこそ、同院は限られた人的リソースの中でもデジタルの力を着実に活用できた。

「患者に寄り添う」という医療の本質を守りながら、データ活用やリモート診療、クラウド上での協働など、幅広い分野でDX の可能性を見出す藤田こころケアセンターの成功モデルは、全国の医療機関に大きな示唆を与えている。医療の質を高めつつ、働き方改革を促進するためにも、セキュアなクラウド活用と伴走型の支援体制は不可欠な要素として、今後さらに普及していくことが予想される。

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