取引先への請求業務のデジタル化に向けて@Tovas Master +を導入 紙の請求書郵送76%Web配信に移行!50%以上のコスト削減を実現!!

1966年、心身に障害ある人たちの自立と社会参加を実現することを目的とした「アビリティーズ運動」を開始し、同年4月に障害当事者による活動体として日本アビリティーズ協会(現在NPO法人)が発足。その後6月には障害者による障害者のための会社、株式会社日本アビリティーズ社(現アビリティーズ・ケアネット株式会社)を設立。1972年から福祉用具の開発・販売・レンタル事業を開始。1978 年には労働省(当時)より国内第1号の重度障害者多数雇用事業所に認定。近年は障害者雇用促進法制定のきっかけを作り、2016年4月に施行された障害者差別解消法の国会での制定(2013年)にも貢献するなど、真の差別解消の実現のために行動を続けている。
会社名 | アビリティーズ・ケアネット株式会社 様 |
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設立 | 1966年6月11日 |
所在地 | 東京都渋谷区代々木四丁目30番3号 新宿ミッドウエストビル 1F、2F |
URL | https://www.abilities.jp/ |
障害者や高齢者の自立と社会参加を長年支援するアビリティーズ・ケアネット株式会社様は、福祉・介護用品などを販売する取引先への紙請求書をデジタル化し、郵送からクラウド経由で受け渡すWeb配信を実現する仕組みとして電子帳票配信システム「@Tovas Master +」を導入しました。
導入までの道のりや今後の展望について、社長室 人事・企画部 システム課 副主任 沖﨑 勝喜 氏にお話を伺いました。
- 紙の請求書の郵送作業に時間がかかってしまい、取引先受領まで1週間ほど要していた
- 担当者は多忙を極めていたためミスも発生し、投函前に修正を行うこともあった
- 月間約1,150~1,200件の郵送にかかるコストが負担となっていた
- Web配信に移行し、締め日から2日後のメール配信を実現
- 76%Web配信に移行することで作業負担を軽減しシステム化によるミスのない運用も同時に実現
- 郵送にかかる年間コストを50%以上削減し営業支援にも活用
<導入の経緯>紙の請求書の郵送業務が担当者の本来行うべき業務を圧迫
アビリティーズ・ケアネット株式会社は、心身に障害のある人たちの自立と社会参加を実現することを目的に障害当事者による活動体として開始した「アビリティーズ運動」の実証企業として1966年に設立。以来、「保障よりも働くチャンスを」、「世の中に無能力者はいない、あるのは能力者だけだ」をスローガンに、障害者や高齢者の自立と社会参加を60年近く支援してきた。現在は、介護福祉機器の開発からメンテナンス、高齢者・障害者の住宅改修工事に関する相談から施工、バリアフリー化のコンサルティングなどを行う「テクノエイド事業」と、有料老人ホーム(特定施設)・デイサービス・居宅介護支援事業の施設運営やみまもりサービスのサポートなどを行う「施設ケア事業」を柱にビジネスを展開。国内外の厳選した福祉・介護用品約5,000アイテムを提供するほか、車いすのまま観光地をめぐるリハビリツアーを企画するなど、高齢や障害のある方を含むすべての人々の自分らしい生活や主体的な生き方を応援しているのが他社にない独自性だ。
同社は今、福祉・介護用品などを販売する卸先への紙の請求書を電子化し、送付方法を郵送からクラウドサービス経由でのWEB配信への移行に取り組んでいる。取引先は自治体や医療機関、福祉・介護サービス事業者のほか、介護用品を販売・レンタルする同業他社など1,700以上あり、請求書の月間発行数は約1,150~1,200件に及ぶ。それを管理本部の経理課と各地域の営業拠点で手分けをし、請求書の印刷から、折り・封入作業、郵便局への持ち込みまで行っていたため、担当者の業務を圧迫していたという。
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アビリティーズ・ケアネット 社長室 人事・企画部 システム課 副主任 沖﨑勝喜氏は、「毎月締め日の翌日から、経理課では5人の担当者が3日以上かけて郵送までの作業に追われていました。当社の社員には障害を持つ方も多く、一般に比べて作業に時間がかかる場合もあるからです。請求内容を厳重にチェックした上で、4日目に投函できたとしても、お客様に届くまで1週間近くかかります。そのため、到着までのタイムラグを解消したいお客様からは、先付けでFAXによる送信も希望されることが多く、二重の手間と時間が発生し、大きな負担となっていました」と打ち明ける。また、郵送にかかる印刷費や封筒などの部材費、郵便料金、人件費などを含めると、年間多額のコストがかかっていた。
そのためデジタル化の構想は2010年頃から検討してきた。請求書のPDFファイルをメールに添付して送信する方法の是非について、取引先の約3,000箇所にアンケートを取ったところ、興味を示されたのはわずか1割程度だったという。「メール送信に同意いただいても、併せて郵送も希望されるケースがほとんどで、当時はまだ紙の請求書を必要とするお客様が多かったのです。デジタル化は時期尚早と判断し、一旦見送ることにしました」と沖﨑氏は振り返る。
<導入のポイント>柔軟で容易な操作とコスト優位で@Tovas
Master +を選択
2020年頃になると電子化やペーパーレス化が業界でも注目され、取引先の6割以上が請求書の電子化に賛同を示すようになったという。そこで同社は、2023年初頭からインターネット上の比較サイトを参考にWeb化が実現可能な様々なシステムやサービスの情報を収集。電子帳簿保存法にも対応可能な6製品に絞り、基本設計に沿った実機検証を進めるなど、詳細な検討を行っていった。その結果、最終的に選択したのがコクヨ製の電子帳票配信システム「@Tovas Master +」だった。
@Tovas Master +に注目したポイントは主に以下のものがあったという。まず、操作が容易であること。候補6製品の中でも@Tovas Master +は多機能にも関わらず操作画面が最もシンプルで理解しやすく、使いたい機能だけをピックアップすることで操作ステップを少なくできるため、引き継ぎなどで慣れていない担当者が活用することになっても戸惑わず使い始めることができると考えた。
次に、コストが安いこと。比較した製品の多くは、標準機能では同社が実現したい請求書発行フローの再現が難しく、オプションの追加やカスタマイズが必要だった。それに対して@Tovas Master +は概ね全てのニーズを満たしており、初期費用・運用費用を比較すると3分の1程度のコストで導入できる計算だった。また、医療・介護分野は法制度が頻繁に変わるため、帳票の項目や算出方法などの変更に迅速かつ柔軟に対応しなければならないが、カスタマイズが入っていると追加の開発費用やベンダー対応などの面で不利になる。その点でも@Tovas Master +の採用は道理に適っていた。
そして、柔軟性があること。同社の請求書帳票は伝統的にメインページがA4の縦形式である一方で、添付する明細ページは取引先ごとに記載する情報量が多いためA4の横形式になっている。その縦・横スタイル混在のPDFファイルを、特別な操作不要でそのままで取り扱えたのは@Tovas Master +だけだった点も選定において大きなポイントになった。
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「こうした優位性によって@Tovas Master +を選定しましたが、PDFファイルの名称の先頭に顧客IDまたはグループ番号を配信先として付与する開発を、別途行う必要がありました。それをコクヨに相談したところ、数多くの基幹システム構築経験を持つJBCC株式会社を紹介されたのです」と沖﨑氏は話す。
偶然にもJBCCはアビリティーズ・ケアネットのオフコン回りの開発やクラウドサービス活用による業務支援の提案などで多くの取引実績があった。また、2022年10月にはJBCCのグループ会社であるJBアドバンスト・テクノロジー株式会社(2025年4月JBCCと合併)とコクヨが協業し、同社が提供するクラウドとオンプレミスをAPIでつなぐ「Qanat Universe」と@Tovas Master +のサービス連携が開始されていたため、JBCCとコクヨによる連携支援には大きな期待が持てたという。
沖﨑氏とJBCCは、Qanat Universeを含めて@Tovas Master +にデータを渡すための様々なシステムの活用を検討。その上で、請求書のPDFと明細部分のCSVデータを抱き合わせて提供するニーズや、請求書発行後に高頻度で発生する訂正対応とオフコンへの補正など、取引先の要望や特殊性を複合的に勘案。その結果、今回はQanat UniverseによるAPIでの自動化は行わず、@Tovas Master +の単独活用でのマニュアル連携が望ましいと結論づけた。沖﨑氏は「当社のオフコン環境を知り尽くしているJBCCが様々なデータ連携提案をしてくれたおかげで、2022年10月から12月という時間的制約があったにも関わらず最適な形で課題解決と開発を終え、2023年1月からの本番稼働に備えることができました」と評価する。

<導入のプロセス>一部Web配信に移行し郵送にかかるコストを50%以上削減
@Tovas Master +の活用により、本来の目的である請求書送付のWeb配信が実現し、2025年3月時点で、請求書総発行数約1,180件のうち、76%にあたる約900件がWeb配信への移行が実現した。それにより、以下の3つの効果が確認されたという。
1つ目は、請求書発送の迅速化である。以前は取引先が紙の請求書を受領するまでに1週間近くかかっていたが、現在は締め日から2日後の朝にはメールを配信できるようになり、取引先はその日の午前中にはURLからPDFの請求書をダウンロードすることが可能になった。そのため紙の請求書受領までのタイムラグ解消を目的として要望されていた先付けのFAX送信作業も、約150件から10~20件ほどに激減している。
2つ目は、業務負担及び管理負担の削減である。郵送やFAX送信作業が削減されたことにより、担当者は締め日翌日の午前中の3時間程度で作業を終えられるようになった。また、どの取引先が、いつダウンロードしたのかも可視化できるようになったため、沖﨑氏の管理・監視作業負担も削減されている。「すべて郵送していた時は締め日から投函まで経理課の担当者は多忙を極めていて尚かつ、時間的な余裕もないため、投函前にミスが発見されたことも少なくありませんでした。@Tovas Master +導入後は作業負荷が大幅に削減され、取引先情報管理さえしっかりしていればミスが発生しない仕組みになったことで、精神的な負担も大幅に削減されているようです。このメリットは@Tovas Master +を実際に使ってみなければ実感できないかもしれません」と沖﨑氏は話す。
3つ目は、大幅なコスト削減である。Web配信が進み、郵送分は請求書全体の2割程度に減少したため、人件費を含めた郵送にかかるトータルコストが年間で相当額かかっていたが、2025年3月時点では@Tovas Master +の年間費用を加えても50%以上圧縮した形となっている。今後さらにWeb配信が進めばコスト削減効果も高まると期待されている。
加えて、@Tovas Master +を営業支援にも活用しているという。「お客様にメールで請求書のダウンロードをお知らせする際に、セミナー案内や新製品紹介などのチラシを同封してご案内したところ、大きな反響をいただきました。チラシにはあえて限られた情報のみを記載し、リンクとQRコードを併載することで当社のホームページをご訪問いただけるようにしています」と沖﨑氏は説明する。
<今後の展望>請求書の電子化率を高めつつ個人向け領収書もWeb配信を検討
今後同社は、請求書の電子化率をさらに高めていくとともに、月間800~1,600件ほど発行している個人向け領収書のWeb配信していくことも視野に入れているという。沖﨑氏は「個人向け領収書は既にメールにPDFファイルを添付する形で提供していますが、JavaScriptが不安定なことが課題となっています。発行履歴も残したいため、今度は@Tovas Master +とQanat Universeを連携し、Web配信に変えて安定させた上で、アップロード順に送信でき、発行履歴も残せる便利な仕組みを実現したいと考えています」と構想を述べる。
そして今回のプロジェクトを振り返り、「@Tovas Master +は電子帳票をお客様にお届けする仕組みとしては極めてシンプルで使いやすく、かつ本質的なニーズにも柔軟に対応可能な実用性の高いツールである点を高く評価しています。今後もデジタル化やクラウド化は積極的に取り組むつもりですので、法制度への対応など最新情報の提供やアドバイスをいただけるよう期待しています」と語る。
高齢者や障害者が自立するための世界最高水準の機器を提供し、住宅改修と公共施設などのバリアフリー化でインクルーシブ社会の実現を目指すアビリティーズ・ケアネットの事業活動の助力となるよう、JBCCとコクヨはこれからもワンチーム体制で支援し続けていく。
JBCC技術者のコメント
Web配信については、昨年度の郵便料金の値上げもあり、非常に多くのご相談をいただいております。
その中で基幹システムの帳票を修正することが難しいお客様も多いため、
帳票設計・PDF分割,命名が可能な@Tovas Master +とQanat Universeの連携をご採用いただくパターンも増えております。
また、Web配信だけでなく基幹システムとの連携もご提案できますので、ぜひJBCCにご相談いただければと思います。
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