積極的に新規市場開拓を行うエフビットコミュニケーションズ
「これまで当社は、時代のニーズを分析し、そのニーズにあった新規市場の開拓に注力してきました」(技術本部・次長・松井良太氏) そんなエフビットが現在、着目しているのは、環境調和型社会やエネルギー利用効率化社会への移行だ。そんな中で新たに2013年にメガソーラー事業、2016年に小売電気事業に参入を果たしている。 これまで「電気」は、地域ごとに決められた電力会社から購入するという選択肢しかなかった。しかし1995年、電気事業法が改され、2000年に大規模工場やデパート、オフィスビルなどが対象となる「特別高圧」区分が自由化された。2004 〜2005年にかけて、中小規模工場やオフィスビル、スーパーなどが対象になり、その範囲を拡大。2016年には、一般家庭や商店などが対象となる「低圧」区分も自由化された。 |
新規事業への参入により、新たな基幹システムの構築が必要に
「まず、高圧区分の小売電力事業から参入しました。しかし、当社にはナレッジや資産がありません。そこで、独自のサービスメニューを作り、電力事業に対応した新たな仕組みを構築することになりました」と松井氏。 そこで問題になったのが、基幹システムの構築だ。エフビットは、既存事業で基幹システムを運用しているが、これらの基幹システムでは、小売電力事業への対応は難しい。そこで、新規事業に適した基幹システムの構築が必要となった。 一般に、基幹システムを構築する際、パッケージソフトを使う方法と、新たにシステムを独自開発する方法のどちらかを選ぶことになる。 この2つの方法には、それぞれメリットとデメリットがある。 パッケージソフトは、短期間・低コストで構築できるという点がメリット。しかし、自社の業務に合わせた運用は難しく、融通が利きにくい。カスタマイズすることで、ある程度の対応はできるものの、拡張性や柔軟性には乏しい。 |
一方、独自開発であれば、拡張性や柔軟性を確保しつつ、自社の業務に合わせたシステムを構築できる。しかし、開発期間が長期に亘る上、開発コストがかさむという問題がある。
「当初は、パッケージソフトでのシステム構築を検討しました。しかし、電力事業に特化したパッケージソフトはコストが高く、導入のハードルになりました。
そこで、汎用的なパッケージソフトをカスタマイズする方法を検討しました。しかしその場合、カスタマイズにコストがかさむため、結果的にはフルスクラッチ開発とさほど変わらないということがわかりました。
となると、フルスクラッチ開発を検討しなければなりません。しかしその場合、要件定義や開発に時間がかかりすぎてしまいます」(管理本部・京都CC・次長・平田茂寛氏)
どちらも一長一短といった状況で頭を悩ませている中、JBCCからアジャイル開発という提案があった。
JBCCのアジャイル開発は、短期間・高品質・低コスト
アジャイル開発とは、必要なシステムを小さい単位で構築していく開発手法の一つ。開発やテストを繰り返すため、ユーザーニーズに合致したシステムを作りやすい。また、できるところから始めるという柔軟な対応ができるという点も大きなメリットだった。それなら、要件の全貌が見えていない状態でも開発をすすめることができる。 「当社は電力事業については、ナレッジが十分でないため、開発中に要求を変更する可能性があります。そのため、ウォーターフォール型だと開発が難しいと考えていました。その点、アジャイル開発は確認しながらが前提となっており、実物で要求仕様のすり合わせができます。当社の新規事業のシステムを開発するのには、最適な手法でした」と松井氏。 JBCCのアジャイル開発では、それらの開発手法に加え、設計情報を一元管理して業務の可視化を行う「XupperII」や、設計情報からアプリケーションを自動生成する「GeneXus」といった開発ツールを使った。これにより、短納期で高品質なアプリケーションを開発することができた。 |
■システム構築範囲 ※画像をクリックすると拡大します |
「JBCCのアジャイル開発で一番驚いたのは、開発スピードです。開発期間中は毎週2回のミーティングを実施しましたが、要望を出した次の回のミーティングでは、すでに対応が終わっていました」と平田氏。
エフビットの基幹システム構築プロジェクトが稼働したのは2016年6月で、同年10月には請求システムが稼働。12月には、新規事業での基幹システムの構築がすべて終了した。
「基幹システム構築が6カ月で完成しました。パッケージソフトを使った場合の開発期間と比較しても、遜色ありません。それまでアジャイル開発の経験がなかったため、当初は不安もありましたが、杞憂に過ぎませんでした」(平田氏)
JBCCのアジャイル開発のメリットは、新しい業務を作る際、「XupperII」がとても役立つという点。ビジネスルールの追加や編集、ビジネスフロー図の作図は、業務を作るのにも使える。
「『GeneXus』で出力されるアプリケーションは物理バグが起きないため、バグのチェックもほとんど必要ありません。その結果、運用スキームの検討に多くの時間を割り振ることができました。JBCCのアジャイル開発は、コストや開発期間の問題をクリアできる開発手法。常にチャレンジを続ける当社にベストな選択でした」(松井氏)という。
将来的にはレガシーシステムの統合も検討
現在、「エフビットでんき」のブランド名でサービスを提供。全国どの地域でも、初期費用や新たな設備投資をせずに「エフビットでんき」に切り替えられる。
「サービス開始以降、前月比150%超の伸張をしています。当社の新しい事業の柱として成長しています」と松井氏。
エフビットでんきは、2017年4月から「低圧」区分のサービスを開始。その基幹システムについてもJBCCのアジャイル開発を採用している。
「低圧区分のシステムでは、請求関連など高圧区分で開発した基幹システムを利用しつつ、Webの申し込みや問い合わせ、モバイル対応、会員登録といった低圧区分に必要な機能を追加しています。『XupperII』は、設計情報を一元管理できるので、今後の拡張などにも容易に対応できるでしょう」
今後は、「エフビットでんき」だけに止まらず、他事業の請求なども一元管理できるワンビリングや「串刺し提案」などにも対応していく。「その際、既存の基幹システムとの統合を検討することになるでしょう。メインフレームやオフコンといった過去の資産の継承は、当社にとって大きな課題でしたが、JBCCのアジャイル開発のおかげで、その解決の目処がつきました」と平田氏。
レガシーシステムはドキュメントがない場合も多く、その管理・運用が属人的になりがち。にもかかわらず、技術者は年々減っていき、貴重な業務知識やノウハウが失われ始めている。また、レガシーシステム自体の延命にも限りがある。その対策は待ったなしといった状況だ。エフビットに限らず、過去の資産の継承は多くの企業に共通する課題である。
JBCCのアジャイル開発を採用すれば、システムや業務を「見える化」し、属人的だったノウハウを企業で共有できる。それにより、拡張性・柔軟性に富んだシステムを開発したり、業務知識やノウハウの継承などに利用したりすることも可能だ。
「JBCCさんとの信頼関係がなければ、アジャイル開発を行うこともなかったでしょう。これからも、当社を支えていただければと思います」と松井氏。
「エフビットでんき」事業を開始するため、JBCCのアジャイル開発で基幹システムを構築したエフビット。JBCCのアジャイル開発は今後、過去の資産の継承といった課題にも応えることになりそうだ。
2017年4月 Link vol.230 お客様事例より
エフビットコミュニケーションズ株式会社様の事例PDFは下記よりダウンロードできます
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超高速開発手法「JBアジャイル」基幹システム構築等の大規模開発を含む、豊富な実績から確立された独自手法で、高品質なシステムを驚異の開発スピードで実現します。 |
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