GeneXus を活用したJB アジャイルで基幹システムを刷新

創業100年を超える老舗総合文具メーカーのサクラクレパスが、40年間使用してきた基幹システムを刷新。「パッケージに合わせて競争力を失うよりも、市場に特化した強みを維持するシステム構築」という選択でDXを推進した。JBCCが提供するアジャイル開発と内製化支援により、顧客ニーズに応える柔軟性を保ちながら、通販事業の売上増、在庫管理のリアルタイム化など大きな成果を実現。「クレパス®」や「クーピー®」で知られる百年企業が、次の100 年に向けた基盤を整えた挑戦の軌跡を追う。
会社名 | 株式会社サクラクレパス 様 |
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設立 | 1921 年(大正10 年)5 月29 日 |
事業内容 | 描画材料・筆記具・事務用品・学用品にいたるまで、人々の暮らしを豊かにする商品を企画・開発し、製造販売。 アメリカ・ヨーロッパ・中国・韓国など世界各国にて幅広く販売拠点を設け、海外販売子会社(米国、中国、オランダ)・代理店(約90 社)を通じて、100カ国以上に当社商品を販売。 |
資本金 | 9,000 万円 |
URL | https://www.craypas.co.jp/ |
100 年企業が実現した市場特化型の強みを生かすDX
サクラクレパス、基幹システム40 年ぶりに刷新
内製化を推進し、グループ企業へ展開
導入前の課題と導入後の効果
- 40 年間使用したメインフレームがブラックボックス化、連携性・拡張性に限界
- EC 通販など新規チャネルとのリアルタイム連携が困難
- 情報システム部でのCOBOL 技術継承が困難
- メーカー・流通の両業態を持つ複雑な業務プロセスを支える基幹システムをアジャイル開発で刷新
- リアルタイムの在庫確認・受注により顧客満足度向上、通販事業「エデュース®」のECサイト売上が2年連続40%増を達成
- JBCCとの伴走型開発によりスキルを習得しシステム内製化を実現、グループ企業へ展開
導入の経緯
教育現場とともに歩んできた老舗文具メーカーのシステム刷新
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「クレパス®」や「クーピー®」で知られるサクラクレパスは、1921 年の創業以来、教育現場と共に歩んできた老舗の総合文具メーカーだ。大正期の自由画教育運動を背景に、子どもたちの創造性を育むクレヨンを作り始めたことが始まりだった。
同社は一般的には製造メーカーというイメージだが、実は事業の半分は流通業だ。学校・幼稚園・保育園向け通販「エデュース®」は、教育現場向けの通販サービスとして成長し、主力事業になっている。
同社の基幹システムは40 年前に国産メーカーのメインフレームで構築され、度重なる改修を行ってきた。吉岡課長は当時の状況について、「当初のドキュメントは書面で残されていましたが、40 年の変遷が十分に記録されていませんでした。市場の変化や新規事業、グループ企業の追加が行われるたびに、内製で機能追加してきた結果、複雑な構造になり、ドキュメントがないものもありました。特にここ10 年ほどでグループ企業が急増し、その都度システムを拡張してきました。」と説明する。
システム刷新の検討は、10 年前から始まった。しかし、既存システムの複雑さや独自性、移行リスクの懸念から方針が定まらず、具体的な計画への落とし込みは進まなかった。しかし、メインフレームは他システムとの連携が難しく、ECサイトは在庫データとのリアルタイム連携ができず、EC強化施策に支障があった。また南海トラフ地震などを想定したBCP 対策も課題となっていた。さらに、既存システム言語はCOBOLであったのにもかかわらず、社内のCOBOL技術者はわずか3名で高齢化しており、COBOLを継続するかどうか技術継承の危機に直面していたのだ。
導入のポイント
柔軟性と計画性を両立させるJBアジャイルを採用
基幹システム刷新にあたり、同社は5社による入札を実施。パッケージ型2社、業務テンプレート型1社、スクラッチ開発型2社と多様な提案があった。
海外子会社ではERPパッケージシステムを導入している例もあるが、国内事業では事情が異なっていた。業務に合わせ開発を行った独自機能や、グループ企業間での自動連携などはパッケージにはない強みであり、これをパッケージに合わせると競争力を失うリスクがあったのだ。そこで独自のアジャイル開発手法「JBアジャイル」で計画性を保ちつつ、ローコード開発ツールGeneXusの活用によりスピーディーにスクラッチ開発できるJBCCの超高速開発と、将来の自社運用を見据えた内製化支援の提案を採用した。
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吉岡 氏
選定理由について、吉岡氏は「既存システムは長年重ねてきた改修により正確なドキュメントがなく、従来型のウォーターフォールによるスクラッチ開発では要件漏れが懸念されました。JBアジャイルは最初に要件定義をしっかり行いつつ、計画された5回のイテレーションの中で現場に早期に触れてもらうことで、要件漏れが少なく、実用的なシステムを構築できる点が大きな魅力でした。また、ローコード開発ツールの利用により、多数の技術者を確保しなくても自社内での開発が可能となる点も決め手でした」と説明する。
セキュリティ面の評価もポイントだった。クラウド基盤だけを提供する会社もあるが、JBCCはセキュリティ対策を含めた総合的な提案を行った。インフラからアプリケーションまで一貫して対応できる点も安心感につながったという。
当初2 年の計画だったが、要件定義の過程で全グループ企業を同時に進めることは難しいと結論付け、スケジュールの修正を行った。吉岡氏は実際の進め方について「各グループ企業の特性に合わせ3ステップに分け、まず通販事業、次に卸業態、最後にメーカー事業と段階的に移行を行いました。これにより通販サイトとのリアルタイムな在庫連携を早期に実現することが出来ました」と解説する。

導入の効果
ECサイトの売上が2年連続2桁伸長、業務工数の削減にも寄与。システム部門も開発体制を刷新
新システム導入により、通販事業「エデュース®」では、ECサイトの在庫リアルタイム連携が実現。バッチを待たずWebで注文された商品の在庫状況が即時に反映されるようになり、お客様がECサイト上で在庫数量を確認できるようになった。これにより、注文後の在庫切れキャンセルが大幅に減少した。その結果、ECサイトの売上は導入後2年連続で前年比40%増となり、顧客満足度も大幅に向上した。
運用面では、夜間バッチにおけるシステムバックアップが自動化され、運用担当者のリソースを1日あたり2時間ほど他の業務に振り分けられるようになった。また、請求書の電子化も進み、紙の使用量とコストも削減。他システムとのデータ連携により業務工数の削減も実現している。
そしてなにより大きな効果は、当プロジェクトを経て、情報システム部門が自らシステム開発プロジェクトを遂行する能力を身に付けたことだ。ローコード開発ツールの習得に加え、アジャイルでのシステム開発の進め方を利用部門と共有できたことで、必要とされるシステムをスピーディーに作成する体制が整えられた。
今後の展望
既存システムでは実現できなかった新たなサービスの開発も視野に
西村氏は、今後の展望について「現在はデータ活用の基盤が整ったところ。今後はBIツールなどを使いグループ企業のデータを横断的に分析、経営判断の迅速化と業務効率化を進めます」と語る。
また、長年の課題だった「販売店を支援するシステム」の開発も具体化。従来のメインフレームでは技術的制約から実現できなかった、お客様ごとの情報提供・サポートで利便性を高める販売店向けサービスが、新システムでは可能になった。今後は、販売店との関係強化を図り、サプライチェーン全体の効率化と価値向上を目指す。
自社内製化の体制も整い、新たな機能追加を進めている。
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西村 氏
西村氏は、最後に次のように語った。「今回のプロジェクトでは、既存業務を大きく変えずシステム移行を優先しました。これにより現場の混乱なく移行できた一方、業務の必要性や効率向上についての議論はこれからです。今後はデータに基づき不要な業務を特定し、真の業務改革を進めていきます。」
教育現場のニーズに応える柔軟性という競争力を維持しながら、効率化を図るバランスの取れたDXこそが同社の目指す姿だ。
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【超高速開発導入事例】株式会社サクラクレパス 様
100 年企業が実現した市場特化型の強みを生かすDX / サクラクレパス、基幹システム40 年ぶりに刷新 / 内製化を推進し、グループ企業へ展開
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ローコード開発ツール GeneXus
GeneXusは開発者が定義した設計情報を基に、独自の論理エンジンを用いてアプリケーションとデータベースを自動生成する、アジャイル開発に適したローコード開発ツールです。GeneXusを利用することで、様々なデータベースとソースコードが100%自動生成されるため、物理的なバグが0になり、開発者によるコーディングの属人性排除や、新技術対応にかかる教育コストの削減、開発~保守局面における高品質・生産性向上が期待できます。
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超高速開発手法 JBアジャイル
一般的なアジャイル開発は、1機能1反復を基本とし、「イテレーション」と呼ばれる短い期間で繰り返し開発することで、開発期間とコストを効率化しながら、段階的に構築していく手法です。しかし、一般的なアジャイル開発手法では機能の連続性が捉えられず、大規模になるにつれスケジュール管理が困難となる等の課題があります。このような一般的なアジャイル開発の課題に対し、独自に改善を重ねたのが超高速開発手法 "JBアジャイル" です。
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