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2021年07月01日

2024年09月10日

改めて考える「災害対策(DR)の必要性」クラウドを活用した災害対策とは?

改めて考える「災害対策(DR)の必要性」クラウドを活用した災害対策とは?

災害発生後にITシステムを迅速に復旧・修復するディザスタリカバリ(DR)は、企業の事業継続管理(BCM)に欠かせない施策です。かつては遠隔地の事業拠点やデータセンターにオンプレミスで用意することが多かったDRですが、近年はクラウドサービスを利用して、より安全、確実かつ低コストに実現できるようになりました。ここではDRの必要性を改めて考えるとともに、クラウドを活用したDRの最新事情を紹介します。

ディザスタリカバリとは?

ディザスタリカバリ(DR)とは、自然災害(地震・水害など)や人為災害(サイバーテロ・不正侵入など)の発生によりITシステムが被害を受けた際、迅速に復旧・修復することを意味します。災害に備えた方針や手順、予防措置の仕組みなどもDRに含まれます。

DRの歴史は意外に古く、メインフレームが主流だった1970年代には災害対策を想定したバックアップの仕組みが構築されています。DRが一般的に広く認識されるようになったのは、2001年に発生した米国同時多発テロがきっかけです。当時、被災地域にオフィスを構えていた米国大手投資銀行が、事件発生直後に遠隔地に用意していたバックアップシステムとデータベースへ切り替えて、いち早く業務が再開できたことでDRの必要性が注目されました。日本では2011年に発生した東日本大震災を境にDRの取り組みが活発化し、さらに2020年に新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生したことでDRを見直す機運が高まっています。

DRは現在、企業の事業継続管理(BCM)に不可欠な要素の一つとして考えられています。災害発生時の被害を最小限に抑えて業務を継続するために策定する事業継続計画(BCP)のなかでも、主にコンピュータやネットワークなどITシステムの復旧対策に的を絞った施策です。具体的には、日常的に利用しているITシステムが一時的あるいは長期的に利用できないことを前提に、別の場所で稼働するITシステムに素早く切り替えて事業を存続させるとともに、元の場所のITシステムを迅速に復旧・修復するためのプロセスを用意することになります。

DRで考慮すべきポイント

DRを対策するうえで最も重要な検討事項は、ITシステムが停止している時間をいかに最小化して、業務を継続できるようにするかという点です。その際に用いるのが「目標復旧時間(RTO:Recovery Time Objective)」「目標復旧時点(RPO:Recovery Point Objective)」「目標復旧レベル (RLO:Recovery Level Objective)」という指標です。

RTOは停止したシステムを「いつまでに復旧するか」という目標時間、RPOは消失・破損したデータを「いつのデータに戻すか」という目標時点、RLOは復旧させたシステムやデータを「どの水準に戻すか」という目標レベルを表わします。このうちRPOとRLOは「データの復旧目標」として同じ意味で使われることもありますが、RPO/RLOとRTOは必ずセットにして設定します。

目標をどこに設定するかは、ITシステムが事業に及ぼす影響によって異なります。企業の存続にかかわるほど重大な役目を担うミッションクリティカルなITシステム(金融機関の勘定系システム、インフラ業の制御系システムなど)の場合、システムのダウンタイムを数秒~数分以内に抑えるとともに、停止直前のデータに戻すことが要求されます。一方、一時的に他の手段で代替できる情報系システムのように、数時間以内に1日前のデータに戻すことができれば許容されるというものもあります。

本来ならば、あらゆるITシステムが停止しても瞬時に復旧できることが望ましいのは言うまでもありません。しかし、RTOとRPO/RLOを短時間・高レベルに設定すればするほど、DRの仕組みは高スペック/高コストになります。例えばトランザクション処理のたびにデータをリアルタイム同期させるような仕組みにすると、高額な高性能コンピュータが必要になり多額の通信費用もかかります。いつ発生するかわからない災害に対して高額な運用経費をかけ続けることはできませんので、DRを講じる際にはITシステムが事業に及ぼす影響度を十分に考慮し、RTOとRPO/RLOを設定することが求められるのです。

クラウドDRという新たな選択肢

ところが最近になって、DRをめぐる事情はずいぶん変わってきました。かつてのDRは、遠隔地の事業拠点やデータセンターにオンプレミスで、つまり自前でバックアップの仕組みを用意する必要がありました。しかし現在は、クラウドを活用したDRサービスがあります。

クラウドDRを利用すれば、DRの仕組みを自前で用意することなく、コストを抑えながら短時間・高レベルな復旧も可能です。事業継続に必要なバックアップサイトのホスティングとデータレプリケーションをまとめて提供する「DRaaS(Disaster Recovery as a Service)」と呼ばれるサービスも登場しています。

ただし、クラウドDRサービスを導入するにあたっては、留意すべきことがあります。実際に災害に見舞われたとき、クラウドDR側のシステムへ切り替えたり、クラウドDRから元のシステムへ復旧させたりする運用管理が大変だという点です。DRでは定期的に動作確認や訓練を実施しますが、いざというときに不慣れな操作に戸惑うこともあり得ます。かといってDRを想定した人材の確保や育成も容易なことではありません。

そこで利用をお勧めしたいのが、DRの運用を代行してくれるアウトソーシングサービスをクラウドDRと一緒に導入することです。システムの復旧に慣れたアウトソーシングサービスであれば、DRにかかる運用負荷を大きく下げることも可能です。

DRに向けたロードマップの策定を支えるJBCCのサービス

クラウドDRが普及するにつれ、改めてDRの導入を検討する企業が増えています。しかしながら「コストが高いかもしれない」「どうやって取り組んだらよいのかわからない」「運用管理のスキルや人的リソースが足りない」といった懸念から、なかなか前に進まないというお客さまもいらっしゃるのではないでしょうか。

そうしたお客さま向けに、JBCCは低コストで運用管理の負荷を軽減できる各種サービスを提供しています。既存のDRをクラウドDRへ移行したい、新規にDRの仕組みを導入したいというお客さまに利用をお勧めしたいのが、ITシステムインフラ最適化の個別相談会「IT Modernizationクリニック」です。

これは、DR対策はもちろん、ワークロード最適化やコスト削減といったお客さまの課題に対して現状分析と効果の見える化を行い、最適なインフラデザインやロードマップを作成する個別相談会です。ご希望に応じてDRを考慮した、お客さまに最適なITシステムインフラを提案します。

すでにDRの導入に向けて動き出しているお客さまには、運用負荷を軽減できる各種サービスを用意しています。例えばWindowsサーバー/Hyper-V環境をお持ちのお客さまには、安価に始められる検証済みのシステム基盤「Azure Stack HCI」、およびJBCCの「Azure連携サービス」のひとつである「Azure Site Recoveryサービス」をお勧めします。

これらを組み合わせて導入し、既存システムから移行すれば、AzureのクラウドDR「Azure Site Recovery」を使った短時間・高レベル・低コストのDRを実現できます。また、DRを含めたITシステムインフラ全体の監視・運用管理、および災害発生時にはクラウド環境への切り替えまでを代行するマネージドサービスも提供しています。

【関連サービス】マンガでわかる Microsoft Azure Stack HCI

まとめ

クラウドDRの登場により、事業継続に欠かせないDRはより身近なものになりました。東日本大震災以降もしばしば地震や水害が発生している日本では、DRの仕組みを用意することが急務です。たとえ大規模災害に見舞われても会社を存続させるために、改めてDRの必要性を見直してみてはいかがでしょうか。

JBCCはDRを含むITシステムインフラ構築において、豊富な経験・実績を有しています。お客さまのニーズや状況に合わせ、最適なクラウドDRの導入・構築・運用を支援するきめ細かいサービスソリューションも提供しています。

DRに関してお困り事があれば、ぜひJBCCにご相談ください。

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