DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?企業に必要な理由と事例から学ぶ企業変革

公開日 : 2021年06月15日
更新日 : 2021年11月16日

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を目や耳にする機会が増えています。そのほとんどで、「企業が早急に取り組まなくてはならない課題」といった文脈でDXが語られています。しかし、DXの本格的な推進に取り組めていない企業は少なくなく、対応に悩む声も聞こえてきます。
この記事ではDXの概念と定義をご紹介し、企業にとってのDXの必要性やメリットおよび早急に着手すべき事柄について解説します。

目次

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DXはなぜ企業にとって必要なのか

DXを推進するメリット

DXを推進しないデメリット

直ちに着手すべき業務プロセスのデジタル化

時代に先駆けてDXを実現した事例

まとめ

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DXを最初に提唱したのは、スウェーデンのウメオ大学教授(当時)であるエリック・ストルターマン氏です。イギリスで開催されたカンファレンスで発表した論文内で、DXを「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ことを意味する言葉として使用しました。「Digital Transformation」をDTではなくDXと略すのは、英語圏では「Trans」の部分を「X」と表すためです。

その後、DXはさまざまな解釈や定義付けが行われ、ビジネス用語として広まっていきました。経済産業省が令和元年7月にまとめた「『DX推進指標』とそのガイダンス」では、DXを次のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

出典:『DX推進指標』とそのガイダンス

この定義では、DXは企業が競争上の優位性を確立するために必要であることが述べられています。そのためには、データとデジタル技術を活用し、顧客と社会のニーズに応える製品・サービス、ビジネスモデルを変革しなくてはならない、それだけではなく企業文化や企業風土までも変革すべきだと示されています。

端的に言うと、DXとは最新のデジタル技術を活用した変革を指します。ただし、企業におけるその変革は、商品はもちろん、業務、組織、プロセス、企業文化・風土にも波及する構造的かつ抜本的なものであるべき、という点が重要です。

DXはなぜ企業にとって必要なのか

DXはなぜ企業にとって必要なのか

ここでは、企業にとってDXが必要な理由と経済産業省が指摘する2025年の崖について、解説します。

企業にとってDXが必要な理由

  • グローバル市場で勝ち抜くための競争力を与えるため
  • 既存システム維持管理費の高額化といったリスクがあるため


上段で記述の通り、経済産業省の定義ではDXは企業がグローバル市場で勝ち抜くためには必要な事項です。クラウドやIoTといったテクノロジーの進化や時代の流れによる消費者の消費行動の変化に対応すべく、情報システムの見直しも必要となります。

既存システム維持管理費の高額化については次の段落で2025年の崖とともに説明します。

2025年の崖とは

DXの推進を阻むものの象徴と言えるのが、多くの企業内に残っているレガシーシステムです。レガシーシステムとは、メインフレームやオフコンと呼ばれるコンピュータを使ったシステム・属人化が進んだ結果、社内に詳細を把握する人材のいないシステムなど、変化に対応するための柔軟性のないシステムを指します。その多くは縦割りの事業部門ごとの業務に合わせて独自の仕様で構築されています。加えて時間の経過に伴ってさらに独自のカスタマイズが重ねられ、肥大化・複雑化・ブラックボックス化が進んでいます。

DXレポートでは、国内の企業の約8割が今もこうしたレガシーシステムを抱えており、その保守・運用のために貴重なIT人材資源が浪費されていると指摘しています。

問題は、企業がレガシーシステムに代表されるような古いIT技術に縛られていると、新しいデジタル競争に勝ち残ることができなくなるということです。DXレポートでは、2025年以降、国内で年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとして強い警告を発しています。これが「2025年の崖」です。

2025年になると、「レガシーシステム(企業が保有する最も大きなシステム)が21年以上前から稼働している企業」の割合が6割以上を占めるようになると予測されています。年間12兆円の経済損失というのは、おもにこのレガシーシステムを抱え続けることに起因する損失です。2025年の崖への転落を回避し、新時代に適応して生き残りを図るために、企業の新しいデジタル化であるDXの推進が必要とされています。

出典:「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDX の本格的な展開~


DXを推進するメリット

DXを推進するメリット

ここからは、企業がDXを推進するメリットを紹介します。

生産性の向上

DXの推進はさまざまな側面から生産性を向上させます。レガシーシステムなど既存システムの中から不要な機能を取り除いて最適化を行うことで、業務効率が格段に向上するでしょう。人的資源の浪費をなくすことができれば、適材適所の人員再配置も可能になります。

全社的なITシステムの構築やオンプレミスからクラウドへの移行も進み、データ連携や情報共有もストレスなく行えるようになるでしょう。組織としての柔軟性や機動力も上がります。総じて、業務プロセスのデジタル化によって業務の仕組みが変わり、労働生産性の向上が達成できるのです。

消費行動の変化に応じたビジネスモデルの確立

近い将来、AI、IoT、ビッグデータ、5G、ブロックチェーンなどの技術活用が飛躍的に進んでいきます。これらによって製品・サービスの高度なデジタル化も実現するでしょう。ユーザーの消費行動が変化し、変化に対応したビジネスモデルが確立されて新しい商品が生み出されていきます。

これら先進技術がもたらす社会の変化は劇的なものです。製造業に限って見ても、機能やスペックを重視したモノづくりだけでは市場の支持を得られず、モノを起点として常にユーザーニーズを情報収集して商品にフィードバックし、アフターフォローや予知保全を含むサービスを提供するなどの展開力が求められるでしょう。DXの推進に成功した企業のみが新しい市場を開拓し、新たな商品やビジネスモデルを創り出し、国際的な競争力を得られると考えられます。

BCP(事業継続計画)の拡充

2020年、2021年には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、企業が事業継続の危機に瀕することとなりました。経済産業省から令和2年12月に発表された「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート2 中間取りまとめ」ではそのことにも触れられています。危機回避に成功しつつあるのは、テレワークをはじめとする社内のITインフラ、さらに就業ルールを迅速かつ柔軟に変更して環境変化に対応できた企業です。

コロナ禍で加速したWeb会議システムの導入、それに続く業務のプロセスデジタル化の動きは、まさにDXにつながるものです。DX推進がBCPにも確実に役立つことが、はからずも証明された形となっています。

出典:DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート2 中間取りまとめ

DXを推進しないデメリット


一方、DXを推進しないことによるデメリットはあるのでしょうか。こちらも把握しておきましょう。

既存システムの維持管理費の高額化

DXレポートで提示された「2025年の崖」が示すように、レガシーシステムなど既存システムの維持管理費は高額化する一方です。

一般的な保守だけではなく、故障・事故時の対処、セキュリティ対策の整備などにもコストはかかります。人件費もしかりです。企業のIT予算のほとんどがこうしたシステムの維持管理のために費やされているとも言われています。
既存システムが正常に機能し、企業の利益に貢献しているのであれば問題はないかもしれません。しかし、現状では大半のケースで既存システムは業務効率を低下させる足かせとなっています。今後ますますその傾向は強まるでしょう。これがDXの主要なテーマの一つとして既存システムの刷新が挙げられている所以です。

社会変化・市場変化に対応できない

レガシーシステムは設計や仕様が古いため新しい技術との互換性が低いという難点もあります。それを抱えたままでは市場や社会の変化に後れを取るばかりという状況に陥ってしまうでしょう。今後の急激な社会変化・市場変化に対応するには、AIやIoTなどの先進技術を活用した製品・サービスのデジタル化が必須となります。

内閣府の「第5期科学技術基本計画」では「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」として「Society 5.0」という概念が示されています。情報社会の次に到来する社会に適応するためにも、企業のDX推進は喫緊の課題となっています。

出典:内閣府 Society5.0

蓄積されたデータを一元管理できない

レガシーシステムでは社内のデータの多くが部門やシステム別に分断されて保存されており、全社横断的に一元管理することが難しい状況にあります。このことが社内データの有効活用や情報共有、ナレッジ共有を妨げています。レガシーシステムだけでなく、社内に残る多くの紙の書類や資料もまたこの問題を深刻化させています。

また、AIやIoTによってより高度なデータ収集・分析を行うためにもレガシーシステムは適していません。必要なデータを自由に取り出して利活用するには一元化されたシステム基盤、データ基盤が必要です。

直ちに着手すべき業務プロセスのデジタル化

直ちに着手すべき業務プロセスのデジタル化

DXの実現にはいくつものステップがあります。その中の大きな目標の一つは「変化対応力の高い全社的なITシステム」の構築と言えます。

しかし、経済産業省のDXレポート2中間取りまとめには、その前にコロナ禍を契機として企業が直ちに着手すべきアクションの必要性が述べられています。それが以下の4つです。

(1)業務環境のオンライン化
(2)業務プロセスのデジタル化
(3)従業員の安全・健康管理のデジタル化
(4)顧客接点のデジタル化

ここで強調したいのは(2)の業務プロセスのデジタル化です。テレワークを実施している企業ならオンライン会議システムなどによる業務環境のオンライン化はある程度進んでいるでしょう。しかし、テレワークを滞りなく効率的に行い、DX推進に結びつけるには、従来の業務プロセスをより網羅的にデジタル化していく必要があります。DXレポート2中間取りまとめでは、そのための方策として具体的に次のようなツールやサービスの導入が挙げられています。

  • 紙書類のデータ化
  • 営業活動のデジタル化
  • インターネットバンキングツールの導入
  • RPA(ロボティックプロセスオートメーション)による定型業務の自動化
  • クラウド活用によるペーパーレス化推進
  • SaaSを活用した各業務のデジタル化


これらに、電子サイン・電子署名ツールや情報共有ツールを加えることもできるでしょう。ツールの導入=DXの推進というわけではありませんが、まず現状の業務プロセスを見直し、デジタル化することで「業務プロセスの再設計」が可能になります。そのことが、DX推進・促進のための足がかりとなるでしょう。

時代に先駆けてDXを実現した事例

このように変化する価値観に対応するため、企業にはデジタルトランスフォーメーションが必須となっています。これからの企業は、企業戦略に基づいてさまざまなデータを駆使して、これまでにないビジネスモデルを見出して新たなモノやコトを生み出さなくてはなりません。ここでは、先行してデジタルトランスフォーメーションを実現した事例を5例ご紹介します。どれも、小規模な事業者がアイデアとテクノロジーでイノベーションを起こし、顧客に受け入れられた結果として参考になります。

CtoCフリーマーケットアプリ

従来、個人で不用品を売りたい人と買いたい人を結びつける場は、周辺地域で開かれるフリーマーケットや、特定の雑誌やタウン誌などでの「売ります・買います」コーナーで行われる程度で、あまり一般的ではありませんでした。インターネット普及とともに、個人が簡単にインターネット上に情報をアップできるようになるタイミングで、「ユーザー同士が直接商品の売り買いを行うことができる場を用意する」というデジタルトランスフォーメーションを実現したのが、各種フリマサービスです。

「CtoCフリーマーケットアプリ」は、きれいな写真が簡単に撮影できるようなったスマホが普及した今、簡単に不用品の撮影画像をアップして販売できる場を提供し、かなり大きな市場規模にまで成長し、成功しています。

タクシー配車アプリ

スマホの位置情報システムなどを活用し、ボタン一つですぐにタクシーを呼べる「タクシー配車アプリ」もまた、デジタルトランスフォーメーションの活用事例として挙げられます。従来、タクシーを呼ぶには「道で通りがかるタクシーを呼び止める」「タクシー会社に電話して配車する」のが一般的でした。タクシー会社では無線を使ってタクシー運転手と連絡を取り合い、「現場に一番近い空車の運転手が向かう」という調整を人間だけで行います。

しかし、タクシーとスマホの位置情報および人間がやっていた調整作業をデジタルトランスフォーメーション化した「タクシー配車アプリ」により、タクシーの配車は、ユーザーにとってもタクシー会社にとっても手間や時間の短縮になっています。

民間宿泊施設紹介サービス

個人宅や空き部屋は、民間宿泊施設として宣伝したくても、宣伝方法がなかなかなくて集客が難しい状態でした。Webサイトを立ち上げても、大手の旅行予約サービスに阻まれ、一般客になかなかリーチできません。しかし、民間宿泊施設に特化して、安く宿泊先を探すことができる場を提供して需要と供給をデジタル上で結びつけた「民間宿泊施設紹介サービス」の出現により、安く泊まりたい人と民泊として利用してほしいサービスとが結びつき、これまでとは違う層の宿泊市場が開拓されました。

顧客対応サービスの均一化

運輸系サービスでは、システムがつぎはぎで顧客からの問い合わせデータが分散していたため、同じ問い合わせに対しての対応が、対応する支社や担当者によりバラバラでした。しかし、問い合わせデータを一元化する部分で、知識のデジタルトランスフォーメーション化を実施。結果として対応するオペレーターの経験に関係なく、均一な対応品質を提供できるようになりました。

ストリーミング配信サービス

音楽や映像作品は、これまでCDやDVDなどの媒体を介して購入したり、貸し借りをしたりして楽しんでいました。レンタルビデオといったサービスも、モノを介するからこそ存在しえたサービスです。しかし、音楽や映像は、電子データ化されてインターネット上でのやり取りが可能となりました。この段階で、売買やレンタルといったサービスもすべてインターネット上で仕組みを作ったことで、今はストリーミング配信サービスが隆盛となり、CDやDVDの販売数は激減、前世代のサービスとなりつつあります。

DXを実現するトータルITサービス「HARMONIZE」

今後の競争を勝ち抜くためには、デジタルトランスフォーメーションに取り組むことが必要です。顧客に向けてはもちろん、社内でもデジタルトランスフォーメーションを行うことによって、社員の働き方改革が行われ、顧客により良いサービスが提供できるようになります。

しかし、「どこから手を付ければいいのだろうか」とお悩みの方もいるでしょう。そのような方に、お客様のDXを実現するトータルITサービス「HARMONIZE」がおすすめです。

「HARMONIZE」は、JBグループが提供する超高速開発、クラウド、セキュリティ、データ連携等のソリューションを、経済産業省の提唱するDXフレームワークの枠組みに基づき、強化、再構築したサービス体系です。JBグループが持つデジタルテクノロジーや手法を取り入れ、進化する最新のDXを実現します。

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HARMONIZEロゴ

まとめ


DXは、既存のシステムや業務プロセスを現状のまま保持し続けることによるリスクに対し警鐘を鳴らすものであり、企業がデジタル化を推進するという変革を通して新しい競争力を得ていくという指針を示すものでもあります。
コロナ禍を乗り切り、2025年の崖を乗り越えるために、企業で何をすべきなのかを冷静に見極める必要があるのではないでしょうか。

JBCC株式会社ロゴ

JBCC株式会社

JBCC株式会社は、企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を支援する総合ITサービス企業です。クラウドサービスを中心にシステムの設計から構築、運用までを一貫して手掛けており、クラウド 1,600社、超高速開発による基幹システム構築 360社、セキュリティ 1,000社の実績があります。
お客様の環境に合わせた最適なITシステムを、クラウド、超高速開発、セキュリティ、データ連携等を活用し、企業のDX実現と経営変革に貢献します。

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