JBCCグループ 生成AI活用事例「全社員が当たり前にAIを活用する組織文化の醸成へのチャレンジ」
2,000名の従業員を擁するJBCCグループは、2023年からMicrosoft Azure OpenAIを活用したChatGPT環境を全社で展開。経営層から現場まで、全社員がAIを日常的に活用する組織文化を醸成し、業務効率化などで具体的な成果を上げています。その取り組みの軌跡と、今後の展望についてご紹介します。
※本記事は、2024年10月4日に開催された「SoftBank World 2024」内の講演内容を記事化したものです。
【講師】
JBCC株式会社 Technical Officer 岡元 信弘
JBCC株式会社 AIプリセールス 伊賀 亜里紗
JBCCグループの事業展開と戦略的注力分野
JBCCグループは、国内47拠点、海外4拠点にて事業を展開し、グループ全体で約2,000名の社員を擁するグループ企業です。事業の中核として、クラウド、セキュリティ、超高速開発の3つの分野に注力しており、特に開発においては、従来型のウォーターフォール手法からアジャイル開発へと移行を進め、より機動的な開発体制を整えています。また、データ活用とAIを新たな戦略分野と位置付け、グループ一丸となって取り組みを強化しています。
2023年2月には東京ミッドタウンに本社を移転し、従業員同士のコミュニケーションを促進する環境を整備しました。この移転は、単なるオフィス移転ではなく、従業員間の情報共有や協働を促進し、AIなどの新しい技術の活用をスムーズに進めるための戦略的な取り組みの一環となっています。
新しいオフィスでは、従業員同士が自由に会話できる空間を設け、知識やノウハウの共有が自然に行われる環境を実現しています。
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AIを全社で活用するための基盤づくり
当社が目指すのは、「全社員が当たり前にAIを活用する」状態です。その実現のために、仕組みと文化の両立を重視しています。
具体的には、経営層、管理者、現場の各層でAIを活用することを前提に、明確なロードマップを策定。セキュリティ対策やデータ管理の方針も整備しています。注目すべきは、経営層自らがAI活用の重要性を示す取り組みです。全社キックオフでは、社長を3Dモデル化したアバターにAIを搭載し、登壇するというデモンストレーションを実施。社長の情報をベースにAIアバターが応答する様子を披露し、経営層のAIへの積極的な姿勢を示しました。
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社内AI理解促進への取り組み
当社では、Azure OpenAIを基盤としたChatGPT環境を全社的に導入し、業務効率化を推進しています。セキュリティ面では認証システムを整備し、ログ管理を徹底。さらに、グループウェアやオンラインストレージなどの既存のSaaSツールとシームレスに連携させることで、より使いやすい環境を実現しました。
ChatGPTの活用例として特に注目されているのが、会議の議事録作成です。Microsoft Teams上の文字起こしデータ、グループウェアのスケジュール、オンラインストレージの会議資料を統合的に活用し、AIによる効率的な議事録作成を実現しています。
また、Microsoft Copilotについても、用途に応じた戦略的な活用を進めています。ブラウザで使用できるCopilotを一般的な情報検索に、Microsoft 365用CopilotをオフィスアプリケーションやTeams内の情報活用に、それぞれ使い分けることで業務の効率化を図っています。
社内におけるAIの理解促進にも力を入れており、従業員の家族も参加できるイベントを開催しています。その一例が「エモい絵ギャラリー」です。このイベントでは画像生成AIを使用し、参加者のリクエストに応じてリアルタイムでイラストを生成。AIの可能性を身近に体験できる機会として好評でした。
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社外への展開と社会貢献
当社では、社内で培ったAI活用の知見を積極的に外部へ発信しています。ChatGPTのミートアップやAzure OpenAIの技術者コミュニティでの情報共有に加え、埼玉県川口市の「かわぐち若者サポートステーション」でAIを活用した業務効率化セミナーを開催するなど、技術普及と社会貢献の両立を目指しています。
また、人材育成と社会貢献の取り組みとして「JBCCアカデミー」を展開。生成AIのプロンプト活用法やデータ分析手法、ノンコーディングによる業務改革など、実践的なプログラムを通じて、社内の若手・新入社員の育成はもとより、広く外部人材の育成にも注力しています。
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これらの活動は、「テクノロジーを通じた人材育成と社会貢献」という当社のミッションを具現化するものです。
今後の展望
当社では現在、主にSaaS上のデータ活用を展開していますが、今後は基幹系システムへとその領域を拡大していく計画です。販売管理システムやCRMのデータとAIを連携させることで、すべての業務システムにAIを実装し、業務効率の向上とデータに基づく意思決定の支援を目指しています。
こうした実践で得た知見を活かし、顧客企業向けのワークショップも提供しています。業務課題に最適なソリューションの選定から、SaaS間連携、AI実装まで、包括的なサポートを実施。国内で利用可能な約1000種類のSaaSの中から、お客様の課題解決に最適なツールを選定し、効果的な活用方法を提案しています。
【関連リンク】 JBCCオリジナルワークショップ(個別相談会)はこちら
JBCCグループの取り組みは、全社的なAI活用の先進事例として高い評価を得ています。今後も業務システムとAIの統合をさらに推進し、その知見を広く社会に還元することで、日本企業のDX推進に貢献します。
企業のIT活用をトータルサービスで全国各地よりサポートします。
JBCC株式会社は、クラウド・セキュリティ・超高速開発を中心に、システムの設計から構築・運用までを一貫して手掛けるITサービス企業です。DXを最速で実現させ、変革を支援するために、技術と熱い想いで、お客様と共に挑みます。