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2024年10月18日

2024年10月30日

Microsoft 生成AI:Copilot と Azure OpenAI の選択ポイント

企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進において、Microsoft が提供している生成AIサービスである Copilot と Azure OpenAI が注目を集めています。これらのソリューションは、業務プロセスの最適化と革新的な価値創出を通じて、組織のDX戦略を効果的に支援します。本記事では、Copilot と Azure OpenAI の特徴と違いを解説し、効果的な活用方法を探ります。

Microsoft 生成AI:Copilot と Azure OpenAI の選択ポイント

生成AI導入によるデータ活用の変革

生成AI技術の進化により、企業のデータ活用に革新的な変化がもたらされました。特に非構造化データの活用が容易になった点が注目されています。企業が保有するデータの約80%はテキスト、画像、音声といった非構造化データです。生成AIの登場により、これらのデータを効果的に分析できるようになりました。

さらに、生成AIはマルチモーダルでの対応が可能なため、異なる種類のデータを同時に処理することができます。これにより、より複雑で多角的な分析が可能となり、データから得られる洞察の質と量が飛躍的に向上しています。

Microsoft が提供する主要な生成AIサービス

Microsoft は、ビジネス向けに複数の生成AIサービスを展開しています。主なサービスとして、①Copilot(旧 Bing Chat Enterprise)、②Copilot for Microsoft 365 、③Copilot Studio 、④Azure OpenAI が挙げられます。これらのサービスは特徴と用途が異なっているため、利用目的にあったものを選択しましょう。

Copilot シリーズの特徴と活用法

Copilot シリーズは日常的な業務効率化に特化した生成AIです。Microsoft 365 と緊密に統合され、主にメール作成や会議議事録作成、プレゼン資料の素案作成などの活用に適しています。これらの機能を効果的に活用することで、従業員の日常業務にかかる時間を削減し、より創造的な作業に注力する機会を生み出すことができます。

Copilot の優れた情報検索・要約機能により、最新のWeb情報から関連データを迅速に収集・分析できます。これにより、市場トレンド調査や競合他社の分析、業界レポートの要約などが可能になり、日常的な業務が効率化されます。

さらに、Copilot for Microsoft 365 は、SharePoint や OneDrive に格納された社内文書を参照し、組織のナレッジを効果的に活用します。この機能により、社内文書の検索、過去のプロジェクト情報の抽出が容易になります。結果として、組織内の情報共有が促進され、業務効率と品質向上が期待できるでしょう。

Copilot for Microsoft365 は、幅広い情報収集に優れた便利なツールです。しかし、その特性ゆえに、アクセス可能な全範囲から情報を集めるため、特定の製品や情報に焦点を絞った収集が難しい面があります。このような限定的な用途に適しているのが Copilot Studio です。例えば、社内情報をベースにしたFAQの作成や、製品資料に関する問い合わせに対応する社内チャットボットの構築など、特定の領域に特化した活用において Copilot Studio は非常に有用なツールとなります。

Azure OpenAI の特徴と活用シーン

Azure OpenAI は、OpenAI社の先進的AIモデルを Azure 環境で利用可能にするサービスです。高度なセキュリティ、多様なAIモデル群、そして他のサービスとのシームレスな連携という特徴を備えています。本サービスは、大規模データ処理や高度な分析要件、厳格なセキュリティ環境、さらには独自AIソリューションの開発において、特に真価を発揮します。

ただし、Azure OpenAI の活用には専門的な知識とスキルが必要となるため、効果的に活用するには、社内のAI人材育成や外部専門家との協力が重要になります。

Copilot と Azure OpenAI の主な違いと選択のポイント

Copilot と Azure OpenAI は、提供形態、拡張性、構築難易度、主な用途、ターゲットユーザーなどが異なります。Copilot は一般的なビジネスユーザーを対象とし、日常的な業務効率化に焦点を当てている一方、Azure OpenAI は開発者やデータサイエンティストをターゲットとし、カスタムAIソリューションの開発に適しています。

これらのツールを選択する際は、技術的専門性、カスタマイズの度合い、統合の範囲、コストと運用面を考慮する必要があります。導入の際は、Copilot から始めて段階的に Azure OpenAI へ移行するアプローチが効果的でしょう。

具体的には、Copilot を導入してWeb情報の有効活用から始め、組織全体のAIリテラシーを高めます。次に、Copilot for Microsoft 365 や Copilot Studio を活用して社内データの有効活用を図ります。最終的には、Azure OpenAI を導入してデータウェアハウスでの統合管理とAI活用を実現するといったアプローチです。各段階で得られた知見と成功体験を組織全体で共有し、次のステップへの準備を整えることが重要となります。

段階的なアプローチにより、企業は「守りのDX」から「攻めのDX」へと進化し、競争力強化と持続的成長を実現することになるのです。

Microsoft が提供している代表的な生成AI

Copilot
(旧 Bing Chat Enterprise):
Web用のAIチャットアシスタント

Microsoft 365 Copilot:
M365アプリ内でのAIアシスタント
Copilot Studio:
独自の Copilot を作成・管理するためのローコードツール
Azure Open AI:
Azure 上で OpenAI のAIモデルを利用できるサービス
提供形態 SaaS SaaS SaaS PaaS
拡張性
構築難易度 構築なし 構築なし 低~中 中~高
データソース Web アクセス権限のある全てのM365データ 様々連携可能
(Sharepointの特定のサイトとの連携が多い)
様々連携可能
(Blob Storage や Data Lake との連携が多い)
ライセンス費用 無償
※特定のM365ライセンス保持の場合
(ユーザー課金)
1User 4,497円/月換算
※年額一括払い(53,964円)のみ
(テナント単位)
29,985円/月
※25,000メッセージ/月
(テナント単位)
従量課金
※利用モデル/利用頻度により変動
強み Web情報の検索といった頻度が多い用途での生成AI活用が無償で利用できる
⇒生成AI活用の入口
AIを使った Office 業務の効率化はこのプロダクトのみ
Microsoft 365 を十分に活用しているユーザーはメリットが大きい
SharePoint や OneDrive 等のデータを活用しやすい
非IT人材でも比較的簡単に独自のチャットボットを作成可能
回答生成に関わる設定を細かくカスタマイズが可能(回答精度向上の可能性髙)
拡張性が高く開発により独自のニーズに対応できる

まとめ:Microsoft 生成AIで実現する効果的なDX戦略

AIの効果的な導入とデータ活用には、段階的なアプローチが不可欠です。その過程では、単なるツール導入を超え、組織の準備態勢、適切な使用方法、具体的な活用シナリオの策定が成功の要となります。そのため、多くの企業が専門家の知見を積極的に活用し、最適な導入戦略の立案と実行に取り組んでいます。

ここで注目したいのが、JBCCが提供する「Copilot PoC(Proof of Concept)支援サービス」です。Copilot の機能説明や活用体験を通して生成AIへの理解を深めたうえで、実業務に即した利用体験により利便性を体感することができます。
Copilot は何ができるのか、導入しても何から始めればよいのか悩んでいる企業は、ぜひ申込をご検討ください。

AI技術の急速な進化に伴い、その適切かつ迅速な導入が将来の競争優位性確保に直結します。この文脈において、Copilot の導入検討とPoC実施は、企業のAI戦略における理想的な第一歩となるのです。

企業のDX推進とAI活用の成功は、適切なツールの選択と効果的な導入戦略にかかっています。Microsoft 生成AIの潜在力を最大限に活用し、ビジネス変革と成長を加速するには、専門家の知見を活用した戦略的なAI導入アプローチが不可欠です。

■PoC支援サービスにご興味をお持ちのお客様は、ぜひお問い合わせください。

Copilot PoC支援サービス

※本記事は2024年8月2日に開催した『Microsoft 365 と Azure の活用事例から学ぶ、これからのクラウド活用~コスト最適化とAI活用でビジネスに新たな可能性を~』セミナー セッション3 内容の一部を抜粋した内容となり、記事内では2024年8月時点の製品名称で記載しています。
セミナーをご視聴いただきたい方は下記より見逃し配信をお申し込みください。

活用方法を詳しく知りたい方におすすめ

Microsoft 365 と Azure の活用事例から学ぶ、これからのクラウド活用 ~コスト最適化とAI活用でビジネスに新たな可能性を~

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Session3:生成AIのソリューションとして、よく選択される Microsoft AI のそれぞれの特長をご紹介いたします。また、生成AIの登場によりデータ活用の方向性は変わってきています。AI活用時代のデータの在り方について、JBCCの見解をご紹介いたします。

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監修者

JBCC株式会社 家原 皆人

家原 皆人

JBCC株式会社 ソリューション事業 ハイブリッドクラウド事業部

クラウドサービス(SaaS)をメインとしたお客様提案活動実施
お客様業務効率化を推進する生成AIを担当

企業のIT活用をトータルサービスで全国各地よりサポートします。

JBCC株式会社は、クラウド・セキュリティ・超高速開発を中心に、システムの設計から構築・運用までを一貫して手掛けるITサービス企業です。DXを最速で実現させ、変革を支援するために、技術と熱い想いで、お客様と共に挑みます。