2020年にも厚生労働省が残業時間の公表を義務付け

公開日 : 2017年08月04日
更新日 : 2021年12月28日

2020年にも厚生労働省が残業時間の公表を義務付け

厚生労働省は、昨今の残業から過労死や自殺に至るような問題が大手企業から中小企業にまで幅広くおきていることを重く見て、2020年にも大企業に自社の従業員の残業時間の公表を義務付けることを決定しています。

今回の決定で対象となるのは、まずは「大手企業」を中心としており、月当たりの平均残業時間を年1回開示することが義務付けられ、これに従わない場合には罰則規定も適用されることになります。対象は「従業員数301人以上の約1万50000社」であり、従業員300人以下の中小企業については罰則のない努力義務とされることが見込まれています。罰金は20万円相当となりますので、それ自体にはたいした威力はないものと考えられますが、残業時間が開示されることで企業の勤務実態が詳らかになることから一定の抑止効果が期待されるものとなりそうです。

直近の大手企業における残業問題などがこうした動きを加速

こうした厚生労働省の動きが加速した背景には、近年、大手広告代理店などで過労を苦にした自殺など痛ましい事件がおきたことが大きく影響しているものと思われます。そして、本格的に国が企業の残業の解消に乗り出そうとしている動きがあるのでしょう。これまで大手企業では36協定といったものが労使間で締結されてきましたが、労働組合との話し合いによってかなりゆるい運用が認められてきたのも事実であり、今後はかなり厳しい運用を各企業が厳格に進めていくことが求められることになりそうです。

非正規社員と正社員を分けるかどうかは依然議論の途上

実際問題としては、「正社員と非正規社員を分けるかどうか」など詳細な仕組みの議論がこれからなされるということで、非正規社員が公表対象外となれば、そちらに大きなしわ寄せが来ることも危惧されているのです。また、実際の残業時間としてカウントされないサービス残業をいかに撲滅するかも大きな問題になりそうで、残業時間の公表以外に、さらに効果的な規制をかけていくことが必要になりそうです。なにより、企業経営者はこの「残業問題」について、より積極的な姿勢をとることが必要とされているといえます。

大手代理店の過労自殺問題では結局経営者が辞任に追い込まれる事態にまで発展しており、単なる従業員の労働問題と軽視することは大きな誤りとなりつつあります。こうした情報の開示を機に、単に厚生労働省の行政指導に従うのではなく各企業が大きな働き方改革に、自主的に取り組むことが重要になってきそうです。

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