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2024年12月03日

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【2024年】個人住民税特別徴収税額通知書とは?電子化の方法を解説

地方税法等の関係法令の改正によって、2024年度より従業員向け個人住民税特別徴収税額通知書の電子化がスタートしました。これは、2016年に導入された企業向け通知書の電子化に続くものです。人事総務部門の業務効率化やペーパーレス化が期待される一方、「導入のハードルが高い」と不安の声も挙がっています。本記事では、個人住民税特別徴収税額通知書の概要や具体的な対応方法、企業が準備すべきポイント、注意点・課題をわかりやすく解説します。

【2024年】個人住民税特別徴収税額通知書とは?電子化の方法を解説

個人住民税特別徴収税額通知書とは

個人住民税特別徴収税額通知書とは

個人住民税特別徴収税額通知書とは、従業員の前年度の所得をもとに算出した住民税額を知らせる書類のことです。住民税は、従業員が1月1日時点で居住している市区町村が課税する税金で、徴収方法として普通徴収と特別徴収の2種類があります。

  • 普通徴収…各市区町村から送付される通知書に従い、従業員自らが住民税を納付する方法
  • 特別徴収…従業員の給与から住民税を控除し、企業が代わりに住民税を納付する方法

地方税法によると、所得税を源泉徴収するすべての企業は、特別徴収義務者として住民税の特別徴収を行うことが義務付けられています。業務上、人事総務部など各企業の担当者は、市区町村から受け取った個人住民税特別徴収税額通知書を、従業員に対し送付しなければなりません。

個人住民税特別徴収税額通知書を従業員に送付するまでの流れ

個人住民税特別徴収税額通知書を従業員に送付するまでの流れ

まず、特別徴収義務者である企業が、従業員が住んでいる市区町村に給与支払報告書を提出します。給与支払報告書とは、従業員に対して支払った前年中の給与を記載した書類のことです。

市区町村は、給与支払報告書の内容に基づき住民税額を計算して、5月頃に個人住民税特別徴収税額通知書を企業へ送付します。

人事総務部などの担当者は、個人住民税特別徴収税額通知書の内容を確認し、従業員へ住民税額を通知します。加えて、記載されている住民税の月割額を毎月給与から天引きして、翌月10日までに市区町村へ納付する流れです。

個人住民税特別徴収税額通知書には、企業用と従業員用の2種類がある

個人住民税特別徴収税額通知書には、企業用(特別徴収義務者用)と従業員用(納税義務者用)の2種類があり、どちらも電子化が進められています。

平成28年(2016年)に企業用の電子化からまずはスタートし、令和6年(2024年)より従業員用の通知書にも導入されるようになりました。

市区町村から受領する企業用の通知書は、2016年より紙と電子データのどちらかを企業が選択して受け取れるようになっています。それ以前は紙のみの運用が行われていて、市区町村は紙の印刷や郵送、管理などの対応に追われていました。そこで、業務負担の軽減を目的に、電子データでの送付が導入されるようになりました。

以下の章では、2024年スタートの従業員向け通知書の電子化について詳しく見ていきましょう。

【2024年】従業員向け個人住民税特別徴収税額通知書の電子化がスタート

地方税法等の関係法令の改正によって、2024年度以降、従業員(納税義務者)に対する個人住民税特別徴収税額通知書を電子的に送付できるようになりました。

特別徴収義務者である企業が希望する場合は、紙ではなく電子データとして従業員に納税額を通知することが可能です。以下では、電子化によるメリットを紹介します。

電子化によるメリット

人事総務担当者は、電子的に通知書を発行できるようになり、業務負担が軽くなると期待できます。

市区町村から送られてくる紙による通知書は、自治体ごとに様式が異なります。横長の通知書の端にミシン目があるタイプでは、ミシン目を手作業で切り離した上で、従業員一人ひとりに配布する必要があり手間がかかります。

また、従業員数が多く、全国に拠点がある企業では、数百以上の紙の通知書が市区町村から届き、部署ごとに分けて配布しなければならず、業務負担が大きいでしょう。

そこで、通知書の電子化によってペーパーレス化が実現すると、紙による配布作業や管理の手間がなくなり、大幅な業務効率化が実現すると考えられます。

従業員向け個人住民税特別徴収税額通知書を電子化する方法

企業が希望する場合、「eLTAX」と呼ばれる地方税ポータルシステムを介して、従業員向け住民税特別徴収税額通知書を電子化して送付できます。

eLTAXは「エルタックス」と読み、electronic(電子)、Local(地方)、TAX(税)からなる造語です。地方税に関する手続きを、インターネットを活用して電子的に行うシステムのことを指します。企業が給与支払報告書を市区町村へ電子的に提出して通知書を受け取ったり、従業員向けの通知書も送付したりすることが可能です。

従業員向け通知書を電子化するには、企業だけでなく、通知書を受け取る従業員側も対応が必要となります。ここでは、それぞれの電子化する方法を見ていきましょう。

企業側(特別徴収義務者)の対応

従業員向け個人住民税特別徴収税額通知書に関して、2024年以降、企業は紙または電子データのどちらで受領するかを選択できるようになりました。希望する場合、eLTAXを経由した給与支払報告書の提出時に、電子データで受け取る旨を申し出ることができます。

企業は、eLTAXから従業員一人ひとりの「通知書(ZIPファイル)」と「パスワード確認用URLファイル(PDFファイル)」をダウンロードします。その後、ダウンロードした電子データ一式を従業員に配布する手順です。配布する方法については、企業側で決めることができます。

従業員側(納税義務者)の対応

従業員が、企業から受領した「通知書(ZIPファイル)」を開くには、パスワードが必要です。

そこで、「パスワード確認用URLファイル(PDFファイル)」を開き、以下のようなPDFファイルに記載された専用URL(またはQRコード)から「eLTAX 特徴税通パスワード確認サイト」へアクセスします。そのサイトに記載されている、通知書のZIPファイルを解凍するパスワードを取得します。

個人住民税特別徴収税額通知(納税義務者用)電子化に係る特別徴収義務者向けドキュメントの公開について|eLTAX

出典:個人住民税特別徴収税額通知(納税義務者用)電子化に係る特別徴収義務者向けドキュメントの公開について|eLTAX

また、企業から受け取った通知データの内容が、市区町村が決定した内容と同一かを従業員側で確かめることも可能です。

パスワードを使ってZIPファイルを開くと、通知書に以下のようなQRコードが記載されていて、読み取ると「eLTAX 特徴税通記載事項確認サイト」へアクセスできます。通知書に記載された情報と確認サイトの情報を比較することで、記載事項が改ざんされていないことを確認できます。

個人住民税特別徴収税額通知(納税義務者用)電子化に係る特別徴収義務者向けドキュメントの公開について|eLTAX

出典:個人住民税特別徴収税額通知(納税義務者用)電子化に係る特別徴収義務者向けドキュメントの公開について|eLTAX

従業員向け個人住民税特別徴収税額通知書を電子化するための準備

従業員向け個人住民税特別徴収税額通知書を電子化するために、企業が準備するべきポイントを紹介します。

eLTAXを経由して給与支払報告書を提出する

従業員向け通知書を電子化するために、前年度の給与支払報告書についてeLTAXを経由して市区町村へ提出しておく必要があります。提出時に、受け取り方法として「電子的データ」を選択します。

なお、従業員ごとに受け取り方法を選択することはできず、企業側が一律で決める必要がある点に注意しましょう。

電子データを従業員に配布する体制を整える

続いて、電子データを従業員に配布する体制を整えます。配布方法について国や自治体からの指定はありません。原則として電子的な方法で配布するよう求められているため、電子メールや社内システムなど、社内で使いやすい方法を決めておきましょう。

現場作業員など、普段の業務で電子メールや社内システムを頻繁に利用しておらず、電子的な配布が難しい場合は、人事総務担当者などが代わりに対応することも可能です。本人の同意を得た上でパスワードを取得して、ZIPファイルを開き、通知書を印刷して配布するなど、別の対応方法が認められています。

従業員へ受け取り方法を周知し、サポートを提供する

従業員に対し、紙から電子データへ変更する点と、受け取り方法を周知しておきましょう。加えて、サポート体制を構築して問い合わせ先や担当者名を知らせておくことも大切です。

前述のように、ZIPファイルを解凍するために専用サイトへアクセスし、パスワードを取得する一連の流れは、初めて対応する従業員にとってわかりにくい可能性があります。

また、Windowsに標準搭載されている機能でZIPファイルを解凍しようとすると、エラーが出てしまいます。別途、AES-256形式での圧縮に対応した解凍ソフトが必要となるため、インストール方法などをあらかじめマニュアル化して共有しておきましょう。

従業員向け住民税特別徴収税額通知書を電子化する上での注意点・課題

従業員向け住民税特別徴収税額通知書を電子化する上での注意点・課題を紹介します。

紙の通知書を選択した場合、電子データの副本送付は廃止される

従来、通知書を紙で受け取っていた場合には選択的サービスがあり、副本として電子データが送付されていました。しかし、電子データの取得が始まったことにより、副本送付サービスが廃止され、紙と電子データの併用ができなくなった点に注意が必要です。

これまで紙で受け取って従業員に配布し、副本の電子データを納税処理に活用していた企業は、対応方法の変更を検討しなければなりません。

なお、企業用と従業員用のそれぞれについて、紙または電子データのどちらで受け取るかをそれぞれ選択できます。以下の4パターンから、企業にとって対応しやすい方法を選ぶことが大切です。

パターン 企業(特別徴収義務者)用 従業員(納税義務者)用
1 電子データ 電子データ
2 電子データ 書面
3 書面 電子データ
4 書面 書面

電子データのダウンロードや従業員への配布に手間がかかる

企業がeLTAX経由で従業員の税額通知データをダウンロードして、従業員へメールや社内システムなどを介して配布するには、手間がかかってしまいます。特に企業規模が大きい場合、ダウンロードに時間がかかって業務が滞る恐れがあるでしょう。

また、従業員にとって機密情報であるため、一括送信などはできず、一人ひとりの宛先を確認しながら配布する必要があるなど、煩雑な業務を伴います。

JBCCによる「奉行シリーズ」のご紹介

JBCCは、給与や会計、人事など幅広いバックオフィス業務をサポートする「奉行シリーズ」について、他システムとの連携を含めサポートしています。

例えば、奉行シリーズの一つ「法定調書奉行クラウド」という製品は、eLTAXと連携が可能です。eLTAXに格納された税額通知データをダウンロードして、同シリーズの「給与奉行クラウド」へデータを簡単に取り込むことも可能です。加えて、「奉行 給与明細電子化クラウド」を使って、従業員のメールへ税額通知データを正確に自動送信することもできます。

奉行シリーズを活用することで、個人住民税特別徴収税額通知書の電子化がスムーズに進むでしょう。

JBCCは、奉行シリーズを提供する株式会社オービックビジネスコンサルタントより認定された、OBC Alliance Partnership(OAP)Gold パートナーです。お客様のご要望を丁寧にヒアリングし、製品パッケージのご提案や導入支援を行っています。以下のサイトより、ぜひお問い合わせください。

奉行シリーズ

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オービックビジネスコンサルタント社の奉行シリーズは 累計56万社以上の企業に導入されています。中小企業のお客様はもちろん、近年では中堅企業や上場企業のお客様でも急速に導入が進んでいます。JBCCはOBC Alliance Partnership(OAP)Gold パートナーとして、これらの奉行シリーズを、基幹連携やクラウドサービス運用などと提案・導入支援しております。OBC Alliance Partnership(OAP)Gold パートナーとして、製品パッケージの販売および導入支援を行っております。

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まとめ

2016年にスタートした企業向け個人住民税特別徴収税額通知書の電子化に続き、2024年より従業員用の通知書も電子化されるようになりました。紙の取り扱いがなくなることで、人事総務担当者の業務負担軽減が期待されるものの、「準備や運用のハードルが高い」「従業員へどのように周知すればいいかがわからない」という声も挙がっています。

JBCCは、個人住民税特別徴収税額通知書を含め、さまざまな電子化をサポートしています。導入方法や運用にお困りの際は、ぜひ一度JBCCへお問い合わせください。

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