BoxとDropboxを比較。法人用オンラインストレージの選び方とは?
リモートワークへの対応やセキュリティリスクの高まりなどを背景に、従来のファイルサーバーからオンラインストレージへの移行を検討する企業が増加しています。しかし、オンラインストレージにはさまざまな製品があり、「どのサービスを選べばいいかわからない」と悩みを持つ企業担当者は少なくありません。
本記事では、代表的な法人向けオンラインストレージであるBoxとDropboxの機能や料金を比較して解説します。それぞれの特徴や強みも紹介しているので、最適なオンラインストレージ選びの参考にしてください。
ファイルサーバーの課題を解決するオンラインストレージ
オンラインストレージは、オンプレミス型のファイルサーバーにおけるさまざまな課題を解決します。オンプレミス型のファイルサーバーには物理的な機器が必要となり、使い続けるとストレージの容量不足やセキュリティリスク、IT部門の業務負荷などの課題が生じます。
それらを解決するのが、サーバーをクラウド化するオンラインストレージサービスです。オンラインストレージは、クラウドストレージやクラウド型ファイルサーバーと呼ばれることもあります。
オンラインストレージサービスを利用すると、業務効率化やデータの一元管理、セキュリティを確保しながら柔軟な働き方が実現するなど、多くのメリットがあります。代表的な法人向けオンラインストレージとしてBoxとDropboxがあります。
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BoxとDropboxの主な機能・料金を比較
保存容量やセキュリティなど、BoxとDropboxの基本的な機能や料金を比較します。
保存容量
Box | Dropbox | |
---|---|---|
プラン名 |
・Business ・Business Plus ・Enterprise ・Enterprise Plus |
・Standard ・Advanced ・Enterprise |
1社あたりの利用容量 | すべて無制限 |
・Standard 5TB ・Advanced 契約数×5TB ※最大1000TB ・Enterprise 無制限 |
1ファイルあたりのアップロードできるファイル容量 |
・5GB ・15GB ・50GB ・150GB |
・ブラウザ上からは350GB デスクトップアプリ上からは2TB |
リンク共有 | ◯ | ◯ |
Boxには4つのプラン、Dropboxには3つのプランがあり、1社あたりの利用容量と1ファイルあたりのアップロードできるファイル容量に違いがあります。
セキュリティ
Box | Dropbox | |
---|---|---|
二要素認証・シングルサインオン | ◯ | ◯ |
暗号化 | ◯ | ◯ |
アクセス制限 | 7段階 | 3段階 |
ログの保存期間 | 7年間 | 無制限 |
マルウェア対策 | オプション | ◯ |
データセンターの国指定 | オプション | ◯ |
IPアドレス制限 | ◯ | × |
どちらのクラウドストレージサービスにも、基本的なセキュリティ機能が搭載されています。Boxには7段階のアクセス制限やIPアドレス制限機能があり、Dropboxよりも細かく権限設定ができます。また、Dropboxではログの保存期間が無制限であるのに対し、Boxは7年間と限りがある点も異なります。
電子署名
Box | Dropbox | |
---|---|---|
電子署名 | ◯ | オプション |
どちらのクラウドストレージサービスにも電子署名サービスが提供されています。Boxは「Box Sign」、Dropboxは「Dropbox Sign」という名称です。署名が必要なドキュメントの送信、入力、保存、進捗管理など、電子署名に関する一連の作業をクラウド上で完結できます。
料金
▼Box
プラン名 | 1ユーザーあたりの月額料金(年間払い) |
---|---|
Business | 1,800円 |
Business Plus | 3,000円 |
Enterprise | 4,200円 |
Enpterprise Plus | 個別見積もり |
▼Dropbox
プラン名 | 1ユーザーあたりの月額料金(年間払い) |
---|---|
Standard | 1,500円 |
Advanced | 2,400円 |
Enterprise | 個別見積もり |
また、Dropboxには法人向け以外に、個人向け(1,200円)とフリーランサー向け(2,000円)の料金プランも用意されています。
Boxの特徴と強み
Boxは2005年にサービスの提供が開始されました。2023年8月現在、Boxのサービスはグローバルで9万7,000社に利用され、その68%がフォーチュン500企業です。日本では、官公庁や自治体、金融、ヘルスケア業界などを中心に1万2,000社、日経225の67%がBoxを活用しています。
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クラウドで作業が完了する
Boxは法人向けのサービスに特化してきたことを背景に、ファイルのダウンロードを含めローカル保存させず、クラウドでの作業完結が徹底されています。対してDropboxはローカル保存したファイルをクラウドに自動同期させる点が、Boxとの大きな違いです。
ワークフロー効率化ツールを利用できる
Boxには「Box Relay」と呼ばれるワークフロー効率化ツールが搭載されています。Box Relayを活用すると、承認プロセスの迅速化や進捗確認の効率化が可能です。豊富なワークフローのテンプレートを利用してノーコードで構築できるため、スムーズに利用開始できます。
セキュリティ対策が充実している
Boxはゼロトラストの考えに基づいてセキュリティ対策が取られていて、充実したセキュリティ機能を利用できます。ゼロトラストとは、社内外のあらゆる通信を完全に信頼しないという考え方のことです。
ゼロトラストセキュリティを実現するために、Boxでは7段階のアクセス制限、ランサムウェア対策、内部不正対策などが用意されています。
Boxのセキュリティ対策の例 | |
---|---|
7段階のアクセス制限 |
1.編集者 2.ビューアー 3.プレビューアー 4.アップローダー 5.ビューアー/アップローダー 6.プレビューアー/アップローダー 7.共同所有者 7段階のアクセス制限で、ファイルの読み取りや書き取りの範囲や権限を細かく設定できます。 |
ランサムウェア対策 | 不正に暗号化したデータと引き換えに身代金を要求するランサムウェアに感染した場合、管理者に通知しファイルの共有機能を停止。ファイルは世代別に管理されているため、感染前の状態に復元できます。 |
内部不正対策 | 大量のデータダウンロードなど、ユーザーによる不審な挙動を検知し管理者に通知します。 |
Dropboxの特徴と強み
Dropboxは、2008年に個人向けから始まったクラウドストレージサービスです。一般ユーザーの間で知名度が高いクラウドストレージで、今も個人やフリーランサー向けのプランが提供されています。2013年にDropbox Businessがリリースされ、法人向けサービスも利用できるようになりました。
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ローカル保存したファイルをクラウドに自動で同期できる
Dropboxは、パソコン上にローカル保存したファイルをクラウド同期できるため、ファイル操作が素早く使いやすい点が特徴です。
DropboxのアプリをパソコンにダウンロードするとDropbox専用フォルダが作成され、ファイルを置くと自動でクラウド同期が開始されます。外出先で作業していてもオンラインになったとき同期されるので、オフラインの状況でも利用可能です。
転送機能で大容量のファイルを送信できる
Dropbox Transferという転送機能を使うと、最大100GBのファイル転送が可能です。転送先にメールを送信するか、ダウンロード用のリンクを共有することで転送が完了します。ダウンロード通知による転送状況の確認や、パスワード保護によるアクセス制御で安全性を確保できます。
Boxはエクスプローラーからファイル共有できますが、Dropboxはデスクトップアプリ上でファイルの共有や転送をスムーズに行える点が大きな特徴です。
コラボレーション機能が充実している
Dropboxは、サードパーティが提供する豊富な種類のアプリと連携できます。具体的には、Googleプロダクト、Microsoft Office、Salesforce、Slack、Zoomなどと連携でき、以下のように活用できます。
Dropboxのコラボレーション機能の例 | |
---|---|
Googleプロダクト | Google Workspaceとの連携で、Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドを、Dropbox上で作成や管理、共有が可能になります。 |
Microsoft Office | Microsoft Officeとの連携で、Dropboxに保存したOfficeファイル(Word、Excel、PowerPoint)を開いて編集し、保存できます。 |
Salesforce | Salesforceとの連携で、SalesforceからDropboxに保管されたファイルにアクセスし、共同作業を進められます。 |
Slack | Slackとの連携で、SlackのファイルをDropboxに保存し、Dropboxのアクティビティに関する通知をSlackで受信できます。 |
Zoom | Zoomとの連携で、DropboxからZoomのミーティング作成や参加、DropboxのファイルをZoomで表示できます。 |
BoxとDropbox、どちらがおすすめ?
BoxとDropboxのどちらを選ぶべきかは、自社のニーズやデータ管理のポリシーによって異なります。ファイルサーバーと同じ感覚で利便性を重視するならDropbox、徹底したクラウド保存で管理を重視したいならBox、という選択肢になるでしょう。ここでは、それぞれのサービスがどのようなケースに向いているか紹介します。
社内外とのデータのやり取りや外出先での利用が多い方はDropbox
Dropboxは、パソコンにダウンロードした専用フォルダに保存するだけでクラウドに同期されデスクトップアプリから利用ができ、大容量ファイルのやり取りもデスクトップアプリから共有が可能です。社内外とのデータのやり取りが頻繁な方や、外出先でお仕事をすることが多いユーザーにはおすすめです。
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厳密にデータの制御、管理をしたいならBox
Boxは、ユーザーごと、フォルダごとに細かく権限設定ができます。DropboxにはないIPアドレス制限が利用でき、社外共有を強制的にできないようにする設定も可能です。容量が無制限であるため、権限設定を細かく行いながらデータの最終管理場所として安全に保存したい場合は、Boxがおすすめです。
JBCCのファイルサーバーワークショップ
本記事では、クラウドストレージサービスであるBoxとDropboxの機能や特徴を比較しました。ファイルサーバーのクラウドストレージへの移行は、スムーズな情報共有による業務効率化や、物理的な機器を保有しないためセキュリティリスクが低減するなど、さまざまなメリットがあります。しかし、クラウドストレージには多くの機能があるため、自社の課題を整理して最適なサービスを選ぶのは容易ではありません。
JBCCは、クラウドストレージの導入を検討されている企業向けに「ファイルサーバーワークショップ」を開催しています。ファイルサーバーワークショップでは、クラウドストレージサービスの比較検討や利用開始時の構築、利用後の定着までをワンストップで提供いたします。
さらに、JBCCには1,110社以上のセキュリティ支援の実績があるため、クラウドストレージのセキュリティ面で不安が残る場合でもご相談いただけます。
ファイルサーバーワークショップにご関心がありましたら、お気軽にお申し込みください。
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およそ5分で分かる!オンラインストレージの選び方
コラボレーションエバンジェリスト 齊藤 晃介 が担当します。
経歴
2000年入社~現在。旧JBCCブランド「俺のクラウド」企画メンバー。現在はコラボレーションエバンジェリストとして社内外で活動中。ワークショップ等で数多くのファシリテーターを担当。
資格
・Dropbox Certified Seller認定
・Box Japan Certified Sales認定
・AWSソリューションアーキテクト
・CompTIA Network+
・CompTIA Server+ Certification
以下のページで動画付きで解説していますので、ぜひご覧ください。
コラボレーションエバンジェリストが語る「ファイルサーバーの選び方」とは?
JBCCでは現在オンラインストレージを活用しており、そのノウハウをお客様へ提供するワークショップを展開しています。マルチベンダーなので、セキュリティ対策も含めたお客様のご要望に合わせた最適なサービスの提案が可能です。まずはお気軽にワークショップにお申し込みください。
詳細を見る▼DX時代突入!次期ファイルサーバーの移行先と選定ポイントについて▼
オンプレミスのファイルサーバーの管理に悩んでいませんか?容量やバックアップの問題、セキュリティの不安など、これらの課題に対する解決策として、クラウド型ファイルサーバーやオンラインストレージをご検討されている方もいます。ビジネス環境の変化に伴い、ファイル管理のニーズも変わってきています。JBCCはお客様のニーズや環境に合わせて移行先を選ぶ方法をご紹介しています。
企業のIT活用をトータルサービスで全国各地よりサポートします。
JBCC株式会社は、クラウド・セキュリティ・超高速開発を中心に、システムの設計から構築・運用までを一貫して手掛けるITサービス企業です。DXを最速で実現させ、変革を支援するために、技術と熱い想いで、お客様と共に挑みます。